赤色赤光

身近なグローバル社会。まずは日本人の身体文化の涵養を。

2016年9月20日

外国人観光客が年々記録を更新しているようで、まさに身近なところでグローバル化を感じます。2、30年もすると仕事仲間は全部外国人、みたいな時代がやってくるのでしょう。そんな時代だから、まず英語を、という期待はもちろんわかるのですが、それ以上に大事なことはまず幼少期にしっかり日本人の身体文化をしつけることではないでしょうか。

たとえば坐法。椅子の文化である欧米には、座法というものは存在しません。アジア圏にはいくつかありますが、正座は日本だけの文化です。また同じ椅子を使っていても、姿勢にこだわるのも日本特有のものでしょう。当園の子ども用椅子には背もたれがありませんが、これも腰を立て、背筋を伸ばすための工夫があります。
瞑想もそう。今はマインドフルネスがブームですが、源流はブッダ以来2500年の仏教の身体技法でもあります。以前脳科学者の先生が、当園で瞑想後の活動における子どもの脳活動を調べたことがありますが、顕著な活性化を示しました。
さらに給食時の食作法。食前後のことばや黙食など、単なる食事マナーとは異なる独自の文化があります。
このように日本人であればごく普通に習慣として馴染んでいるもの、すぐ再生可能な作法を、身体文化といいますが、最近は生活環境が欧米化することで、次第に退化してきていることも事実でしょう。上の年齢になるほど、周囲は近代化していきます。身体文化は幼少期にこそ、しっかりからだの中に埋め込んでいかなくては定着は難しいのです。

グローバル化が進むほど、自身のアイデンティティが求められます。情報や知識はすごいスピードでシェアされていきますから、最後に残るものは固有の身体だけです。自身の身体でどのように自分らしさを表現することができるか。言葉だけに頼らない、ノンバーバル(非言語)・コミュニケーションがますます関心を集めることでしょう。
伝統の型や様式をだいじにしたい。単なる懐旧からではなく、それがグローバル社会に向けて、人を育てる基本となるからなのです。

 

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