赤色赤光

希望の船を漕ぎ出そう。終業式。

2011年12月22日

 おもちつきの行事が終わると、幼稚園はだんだんと年末を迎える雰囲気となります。先生たちは年賀状を書いたり、大掃除をしたり…子どもたちは、5日に行われた「お店屋さんごっこ」で、クラスごとにお店を出して、それぞれ歳末の「お買い物」を楽しみました。
朝の時間、気づくことがあります。ローテーション、朝礼、そしてお部屋での日課活動など、私は園舎の廊下から眺めているだけですが、子どもたちの心身に漲る充実を感じます。一人ひとりの成長発達ももちろんですが、クラス集団が友だちと、先生とともにていねいに編み上げてきた共同体の結束力です。一朝一夕では及ばない、手前味噌ですが、幼稚園教育の見事な「賜物」が、この時期に生みあがってくるのです。

大きな震災のあった今年、「絆」という言葉が多用されました。大きな不幸や不安に見舞われると、人間は忘れたものを思い出すかのように結束を求めるのでしょう。
いえ、目の前に危機があろうとなかろうと、子どもの存在は、元来繊細であり、か弱くもあります。あれもこれもと大人が成長を急がせる前に、小さき人は、全身をもっていのちの儚さを伝えようとしている。そこに気づきや共感のないところに、本当の子どもの成長のよろこびや感謝も生まれません。子どもは、私たちの「絆」そのものなのです。

昨日12月21日の朝礼では大勢の園児たちの誕生日会でした。金の王冠とメダルをつけた子どもたちが、自己紹介の中で、銘々に将来の夢を宣言します。6歳ともなれば、多彩な夢があります。

「大きくなったら、プロ野球選手にないます」
「大きくなったら、キャビンアテンダントになります」
「大きくなったら、化石を掘る人になります」
女の子がこう言いました。
「大きくなったら、パドマ幼稚園の先生になりたいです」

2010年は日本という国にとって、忘れられない一年になりました。終わらない喪失の悲しみ、復興への模索、そして再生への誓い…私たちは動揺し、困惑し、翻弄もされたけど、それでも子どもはしっかりと生きてくださっています。小さな人生ではあるけれど、彼ら彼女らは日々大きな成長を遂げながら、希望の船を漕ぎ出しているのです。その行路に惑うことなく、私たちにできる最善を尽くしていこう、と心ひそかに誓ったものでした。

最後に、年長児が、いまクラスで暗唱している「人生」という詩をご紹介します。
この一年、本当にありがとうございました。どうぞよき新年をお迎えください。

人と接するときは  春のようにあたたかく
仕事をするときは  もえたぎる夏のように
ものを考えるときは  澄んだ秋のように
おのれを見つめるときは  冬のようにきびしく

人生は春夏秋冬で  ありたいものです

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