教育の特徴

幼稚園での活動は、すべて「あそび」。規律ある生活習慣と多様な経験を与え、
非認知能力と認知能力をバランスよく育みます。幼稚園教育だからこそ育つ力の土台
となっている、パドマ幼稚園での教育の特徴についてご紹介します。
パドマ幼稚園が実践する教育。

1.たいせつなこころを育む「仏教教育」

パドマ幼稚園は、浄土宗大蓮寺を母体に創立された幼稚園です。「パドマ」とは、仏教のことばで「赤い蓮の華」という意味。その名前に込められているのは、「泥の中でも美しく咲く蓮の花のように、困難に負けない子どもを育てたい」という願いです。変化が激しいこれからの社会を生き抜くために重要なのは、幼児期に人間性の基礎を育むこと。当園では子どもの全人格的な発達を目指し、仏教の教えに根ざした「人間教育」に取り組んでいます。

当園のすべての保育室には仏壇が安置され、朝のお勤めや瞑想、礼拝、般若心経の奉読、また本堂参詣や仏式の式典など、仏教に基づく様々な教育活動が取り入れられています。こうした仏教的な環境を通じて、子どもには人間として大切な態度や作法、道徳観が自ずと身につきます。同時に、自分を愛する力、他者を信頼する力、感謝する心や思いやりといった「人間性」の基盤も育まれていきます。

正しい人間に育つ願いを、仏さまとともに。当園の仏教教育にご理解とご協力をお願いします。

2.⼦どもの⾮認知能⼒を育む「総合幼児教育」

動き(体の躍動)、ことば(知の躍動)、リズム(情の躍動)

AI やテクノロジーが進化するこれからの社会では新しい仕事や職業が生まれ、人間にはこれまでとは異なる能力が求められるといいます。それに伴い、近年幼児教育の重要性が再認識されています。幼児教育に関してとくに注目されているのが、子どもの「非認知能力」の発達です。非認知能力とは、意欲や協調性、自制心や創造性、コミュニケーション力といった、数値化できない重要な力のこと。その能力は幼児期に著しく発達し、大人になってからの社会的成功を大きく左右するといわれています。

非認知能力は、一人で身につけられる学力とは異なり、集団での行動の中での挑戦や協力、困難や失敗などの経験を通して養われるものです。むろん、大人がやりなさいと教えて身につくものでもありません。非認知能力を育むためには、何よりも子ども自身が「なぜ?」「やってみたい!」「楽しい!」と活動に興味関心を持って取り組むことが大切です。そんな子どもの意欲を引き出す教育を、パドマ幼稚園では総合幼児教育(動き・ことば・リズム)として実践しています。

総合幼児教育では、「動き」と「ことば」と「リズム」の活動に取り組みます。「もっと動きたい」「もっと話したい」という、子どもが持つ人間の生まれながらの欲求を活動に落とし込んでいるのです。「ことば」の活動では、たましいと人格を育む言語感覚、「リズム」の活動では、感性と思いやりを育むリズム感覚、「動き」の活動では、やる気とがまんを育む身体感覚。それぞれの感覚を養いながら、一生の基盤となる「非認知能力」の育成を目指しています。

もちろん、非認知能力だけが幼児教育のすべてではありません。就学を目指して認知能力(IQや学力などで数値化できる力)もしっかり育みながら、いずれにも偏らないバランスよい保育を実践しています。

総幼研(総合幼児教育研究会)

ことばが光る幼稚園

幼児期は母語を形成するもっとも大切な時期です。ふだん使いのことば以外に、将来の学習言語もまた母語を土台として育ちます。英語やコミュニケーション力の育成もまず母語の土台を作ってからです。
当園では、名詩の暗誦や音読、カードを使ったことばあそびなどを毎日行っています。内容は難しそうですが、子どもに意味を教えるのではありません。日本語特有のリズムを体ごと一緒に楽しみながら、ことばへの憧れや興味を感じる環境を整えています。先生がかける前向きなことば、保育室に掲示される倫理的なことば、子どもどうしが応援し合うことば等々、当園はことばが光る幼稚園なのです。

3.「脳力」を育む旺盛な身体活動

最近ベストセラーとなったアンデシュ・ハンセン著/久山葉子訳『スマホ脳』(新潮新書,2020)では、子ども時代の活発な身体運動は、体力の向上だけでなく脳力の発達にも直結すると説いています。一方で、近年の日本の小学生の体力低下は深刻です。肥満児や心身の不調をうみ、ロコモという老化現象さえ見られます。この小学生の体力の有無は、就学前の幼児期における運動量に相関することがわかっています。

パドマ幼稚園では、旺盛な身体活動を教育に取り入れています。運動イコール体育ではありません。幼児期の運動は跳び箱や鉄棒といった体育活動だけに規定されるものでなく、「立つ座る」「挙手をする」「呼吸する」といったことや運動あそび、ごっこあそび、伝承あそびなど多様な動きや活動の中で行われます。当園では、毎日の運動ローテーションを始め、室内での乾布摩擦、日課活動、あるいは給食まで、園生活すべてが身体活動につながっていることが特徴です。

一年中できるだけ薄着(園庭では裸足)を推奨し、屋内外にかかわらず多様な身体活動を継続することで、子どもの健全な心と体を、そして将来の学力の基盤を育てます。

幼児教育の最新の知の集積。

総合幼児教育研究会の中核であり代表園です

1984年にパドマ幼稚園において創設された一般社団法人総合幼児教育研究会(略称総幼研:加盟220園)は、全国の幼稚園、保育園、こども園などの園種を超えた幼児教育研究団です。パドマ幼稚園は創設以来その中心園として、数々の研修や公開保育を担当し、全国の加盟園のモデル園として知られます。同会会⻑を兼務する当園の秋⽥光彦園⻑は講演や著述において、また当園職員も実践研修などでの出講を通して全国の園の発展のために貢献しています。

大学との共同研究の実績が多数あります

当園では、総幼研主催による大学との共同研究に協力しています。2012年に諏訪東京理科大学・篠原菊紀教授、また2013年(社)国際知的財産研究機構・柳澤弘樹主任研究員による脳内計測実験を園内で実施し、当園の日課活動の教育的な効果が実証されました。また、2018年には福山市立大学・弘田陽介准教授(いずれも肩書きは当時)の科研研究にも協力するなど豊富なエビデンスを得ています。当園単独としては、京都大学、京都女子大学などの学術研究にも協力しており、2022年には幼児教育実践学会で当園職員による発表も行なっています。

教育学者・齋藤 孝教授のご著書でご紹介いただいています

テレビや多くの著作で知られる明治大学の齋藤孝教授から、当園独自の教育実践に高い評価をいただきました。ご自身の著作『子どもの集中力を育てる』(文藝春秋,2009)『「できる人」はどこがちがうのか』(ちくま新書,2001)等で何度も当園の魅力についてご紹介いただいています。

国⺠的ベストセラーとなった『声に出して読みたい日本語』(草思社,2001)にこうあります。「幼い時期、たとえば小学校就学以前の子どもに、漢詩や和歌を暗誦させるということは、果たして拷問であろうか。あるいは、そのようなことがそもそもできるのであろうか。こうした疑問に対する一つの実践的な解答として、私は大阪のパドマ幼稚園の実践に出会った。そこでは、年少組から漢詩を速いテンポで朗読・暗誦していた。年少組や年中組の子どもが李白や杜甫の詩を大きな声で暗唱・朗誦する様は衝撃的であった。

その衝撃はけっして嫌な感じのものではなく、むしろ小気味良いものであった。子供たちの表情は生き生きとしており、速いテンポでそうした調子の良い詩文を朗誦することを、からだごと楽しんでいることがはっきりわかった。これは、詰め込み式の早期教育とは一線を画する実践である」(『声に出して読みたい日本語』より)

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