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「心の教育」。上町台地と私学を考える。

2011年12月13日

昨日、「上町台地と私学を考える」講演&シンポジウムを開催しました。会場の追手門学院大阪城スクエア大手前ホールは、150名を超える参加者でほぼ満席、当園PTAの方々のお顔も多数ありました。

 そもそもこの企画は、上町台地という大阪随一の文教地区に、なぜ有名私学が集積しているのか、私学と地域の関係を改めて問いたい、という私の思いから始まりました。産業区とか商業区は、カネとモノを投入すれば意図的につくることができますが、教育的な文教地区には、歴史や伝統といった時間的資源が必要です。また、それぞれの私立学校には、この場所に誕生した独自の出自が伴うはずであり、それらが重なり合って、上町台地という物語を奏でてきたと思います。
一体その魅力とは何なのか。そのために私学が担うべき役割とは何か、等々、興味深い議論が交わされました。

 内容についてはいずれ報告書を発行しますので、そちらに譲りますが、1部の精神科医・名越康文先生の講演は、軽妙ながら、さすがツボを得ていました。上町台地の魅力は「非合理」であり、だからこそ気づく「大きな合理」があると。理屈では超えたものと出会いながら、本当の道理を知るとでもいうべきでしょうか。はっきりと、日本人には宗教的教育が必要だ、と仰っていたのも印象的でした。

 2部では、四天王寺中・高の奥田行信校長先生、追手門学院小の津田克彦校長先生、そして私の3人でセッションとなりました。3校とも共通してふれられましたが、私からも公教育には限界のある「心の教育」を、もっと踏み込んで行いたいと提案しました。私学のコミュニティは建学の精神や教育理念に共感した子どもや親が集うのだから、「同志縁」に近く、より自覚的であり自発的な意識が集う場です。だからこそ可能な「心の教育」、宗教教育をはじめ、芸術や哲学など人文知を応用した、精神的な教育を力強く推進すべき、と述べました。

 時間不足のため論議が十分至らなかった反省はありますが、上町台地上の幼稚園、小学校、中・高校が学校種別を超えて、同じテーブルで話し合ったことだけでも画期的なこと。閉会後、寄せられたアンケートにも、「それぞれの学校が上町台地でつながり、協力されて、新しく生まれ変わっていかれるのが楽しみだ」と期待の声をいただきました。

 私学として地域社会に対し、どのような存在感を刻んでいくべきか。パドマ幼稚園もささやかですが、チャレンジを重ねていきたいと意を新たにしました。

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