赤色赤光

■行事を通して学ぶこと。もちつき大会。

2018年12月18日

先週、年末恒例のもちつき大会を開催しました。もち米を蒸すところから始まる本格的なもので、大勢のお父さんお母さんが参加していただきました。

さて、どの幼稚園にも遠足や運動会、発表会、卒業式といった「行事」があります。世界的にみれば、これほど学校園行事の多い国は日本をおいてなく、3年前から文科省は途上国に「輸出」を奨励しているほど。家族のみならず地域全体を元気づけるものとして、行事に国際的関心が高まっているといってよいと思います。

ですから、もちつき大会は代表的な日本の地域の伝統行事です、といいたいところですが、都市部ではその光景もほとんど見られなくなったのではないでしょうか。今や真空パックのお餅が主流の時代ですから、杵臼を使ったもちつきなどは園行事で初めて体験する子どもも少なくないのが現実です。

 

餅をつくという米食文化は、弥生時代以来の日本独自のもので、自分のアイデンティティにまつわる立派な伝統文化でもあります。また、縁起物として歳末や正月を祝いますが、何よりみんなでついて、みんなで食べるという風習は、家族や地域の仲間意識や連帯感を強めます。老いも若きも皆代わる代わる杵(もちをつく道具)を持って、もちをつく。それもみんなをつなぐ共同作業としてたいせつな行為だったのです。

現代はよくもわるくも個人が優先される時代です。反対に「みんな」の意識が後退し、それと並行するように、地域行事の影が薄くなっていったような気がします。地域のヨコのつながりが薄くなり、家族それぞれが多忙になると、これも致し方ないことかもしれません。不特定多数の人が参加する場所は危険という声もわからないではない。

であればこそ、学校園行事は大切な意味を持ちます。園という守られた空間の中で、子どもを中心に、保護者やその家族どうしが行事を通して相互に理解や交流を深めていく。同じ共同体の絆を強め、自覚や愛着心を高めていく。それは幼稚園に限ったことではなく、参加する人の目のうちに「公共心」といったものを宿していきます。そこに伝統行事の教育目的があります。

日本は春夏秋冬の移ろいがゆたかであり、世界と比してもいろいろな年中行事がある国です。四季があるから、桜の下での入園式や、秋の収穫体験や、冬の雪遊びなど、多彩な行事が成り立ちます。

それが、わが子にとってたいせつな日本の情感や感性をはぐくみ、将来の人格形成、共同体意識の栄養となっていくことも、心に留めておいてほしいと思います。

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