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PISA ランキング発表。本当に大切なことは何か。

2023年12月11日

先日、国際機関OECDが主宰する国際学力到達度調査「PISA」(ピザ)の結果が発表されました。詳細は報道にある通りですが、日本の学力は「世界トップクラス」を折り紙つきとなり、近年続いた「読解力低下問題」(前回15位と低迷した読解力も3位に浮上)も払底したという印象です。その理由として、コロナの休校時間が他国より短かったことや、ギガスクール化でキーボードによる回答に習熟したことなど挙げられていますが、本質的に言えば、PISA型の学力観がようやく教育現場に定着してきたからといえましょう。
PISA 型学力とは、学校や生活の中で学んできたことを社会生活で直面するさまざまな課題に活用する力がどの程度身についているかを測ることを目的としたもので、「読解力」、「数学的リテラシー」、「科学的リテラシー」の3領域で問われています。国語、算数、理科といったこれまでの教科主義とは異なる学力の捉え方が求められています。文科省が07年に復活させた「全国学力調査」も同様で、実生活での応用力が評価されるなど、今は「社会的情動スキル」が重要なのです。
毎回、ランキングが注目されますが、他にも様々な学力統計はあるので、そこに一喜一憂するのではなく、いかにPISA型学力の本質を深く見ていくかが、これからの学校園や家庭にも必要なことになるでしょう。

幼児教育も然りです。とりわけ「あそび」を通して、将来の学力に向かう資質や能力をどう育てるか、近年日本の幼児教育が大きな転換期にあるいま、いっそう「次世代にとってどんな社会になって」「どんな能力が必要とされ」「子どもを育てるのか」といった明確なビジョンが求められています。
当園では、3年前から「集団のあそび」と「じぶん主体のあそび」の両立と、子どもの内発的な動機づけを高めることを目標にしてきましたが、これもPISA型学力と同一線上にあるものといえます。「できるできない」ではない、その発達プロセスにおいてどんな能力や資質が育ったのか、私たちの大人の子ども観、育児観をもっと深めていく必要があると思います。
今年最初は、世界をチャットGPTが席巻しました。あけて新年、めまぐるしく変化はあっても、人生発達の黄金期は幼児期であることに間違いはないのです。

 

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