赤色赤光

尊いのは足の裏である。卒業生へ。

2018年3月12日

この季節、幼稚園の玄関に掲げられる聖句は、坂村真民の「尊いのは足の裏である」という言葉です。

「尊いのは 頭でなく手でなく足の裏である
一生人に知られずに一生きたない処と接し
黙々としてその勤めを果たしてゆく足の裏的な仕事
足の裏が教えるもの しんみんよ
足の裏的な仕事をし 足の裏的な人間になれ
頭から光が出る まだまだだめ 額から光が出る まだまだいかん
足の裏から光が出るそのような方こそ 本当に偉い人間である」

この詩は、パドマ幼稚園年長児の3月の音読、つまり園生活で3年間続けてきた日課では最後の音読になります。
泥臭い詩です。卒業目前なんだから、思い出や旅立ちを歌い上げる内容でもいいのではないか、と感じる方もあることでしょう。しかし、この詩は、卒業を控えた今だからこそ映える。そう思います。

年長児には最後の園生活、また各学年にはそれぞれのクラスの終了です。園生活は終わるけど、子どもたちの人生はまだまだ続きます。3年間の園生活で身につけたものはまさに足の裏的な力。知識や技術以前の、人として生きることの基本を体得してくれました。それさえあれば、大丈夫。地を踏みしめて生きていける、前を向いて歩いていける。これからの生を支える根元の大切さ、尊さを描いていると思います。
もちろん、子どもたちにこの詩の意味を教えることはありません。すぐれたテキストを音読することで、正しい人間の生き方のエッセンスを幼児の身体に刻み込んでいきます。読解とか解説とかに頼ることなく、永らえる言葉の魂を身体に染み込ませていくのです。言葉では説明し尽くせない、「足の裏から光が出る」ような人を、皆が一体となって音読で立ち上がらせていくといえばいいでしょうか。

パドマの幼児教育とは、まさに「足の裏」を育む教育。足の裏がしっかりしてこそ、やる気がみなぎるし、自立心も芽生えます。子どもの音読とは、そんな精神を涵養する心の教育でもあるのです。
卒業、進級おめでとう。新しい希望の4月を迎えよう。(RE)

 

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