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コロナで体力低下? 機能快を満喫しよう。

2020年10月1日

爽やかな時候となり、スポーツの秋、運動の秋を迎えました。今日の空のように、1日も早いコロナ晴れを願いたいものです。

さて、9月14日付のAERA :dotで、コロナから学校再開後、「子どもが運動不足で「考えられない事故」や「体重増加」」という記事が目を引きました。7月以降となって医療機関を訪れる小中高生が増えているというのです。

同誌の中で、日本臨床整形外科学会の新井貞男理事長がこうコメントしています。

「近年スポーツ庁の調査でも児童生徒の体力・運動能力の低下が指摘され、体がかたい、バランスが悪いなどの運動器の機能異常である『子どもロコモ』の子どもが増えています。今回の長期間の休校がさらに運動機能を低下させ、運動を再開した際にけがをしやすくなる状況をつくっていると考えられます」

医療機関を訪れた小・中・高校生に自粛期間の影響を尋ねたところ、「体力がなくなった」と回答したのは、小学生で35.3%、中学生で44.1%だったとか。長期休校による運動不足の後、急速に運動量が増えたことで子どもの事故が多発しているというのです。

幼児について該当するデータはないのですが、同様のことが言えるのではないでしょうか。

休園中に多くのご家庭が、子どもの運動不足や体力低下を心配されたはずです。

じつはコロナ以前から、子どもの体力低下についてはいろいろな指摘がなされてきました。

少子化になって子ども集団の運動あそびがなくなった。安全対応が優先されて、チャレンジングな外あそびがなくなった。スマホに釘付け状態(Screen Time)で、身体を不活動状態に陥っている等々。つまり、生れながら誰にも身体機能はありながら、それが十分に発揮できる環境にないのです。

文科省は2014年に「幼児期運動指針」を制定、幼児が楽しく身体を動かす時間を「一日60分以上」と定め、「多様なあそび・さまざまな動き」を経験し、「発達の特性に即したあそびを提供すべきと提言しています。

「発達の特性に即した遊び」とは、3歳なら3歳なりに5歳なら5歳なりにその運動が楽しめて、それをやり遂げた有能感を体感できるということ。言い換えれば、自分の内部にある「身体機能」を十分に使い尽くした「機能快」に満たされるということなのです。テレビやゲームの前では、身体機能はほとんど発揮されないままです。

であれば、安全な環境にあって、指導者と子ども集団に恵まれた幼稚園での運動が、幼児期にはまず第一義といえるのではないでしょうか。

 

今朝、秋晴れのもと、子どもたちと体育ローテーションを楽しみました。園庭のランニングに始まって、様々な運動機器で遊ぶこと30分、その後、朝礼とパドマ体操ですから、戸外活動1時間、これを毎日繰り返します。

毎日同じことを反復する。大好きな先生や友だちと一緒。できる、できないという評価ではないので、子どもが心から楽しめる。それによって、小さいながら自分の身体を使い切った機能快を満喫することができるのです。それは、体力だけでなく集中力や忍耐力、協調性などを育みます。体力は、幼児の場合、人格形成の基礎ともなるのです。

今月24日には、いよいよ運動会。分散開催とはなりますが、ここまで培った子どもたちの「身体のよろこび」をぜひ見てあげてください。

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