赤色赤光

朝の来ない夜はない。子どもたちの健気さよ。

2022年2月5日

コロナ3年目、今回はオミクロンの影響が学校園まで広がり、関係者はみなさん苦慮を重
ねていることでしょう。当園でも、申し訳なさを感じつつ、国のガイドラインに基づき、
学級閉鎖を続けざまに判断する状況が続いています。

大阪府のまん延防止措置が解除される20日まで「自由登園」としましたが、そのためか出
席園児はクラスにもよりますが、半分から3分の2にとどまっています。例年であれば音
楽リズム発表会の練習たけなわの頃なのですが、中止となった今そのリズムも聴こえてき
ません。保育はいつも通りに進んでいますが、やはりいつもとは違う幼稚園なのです。

しかし、園内を歩いていると、大人たちの困惑をよそに、園児たちのあまりの屈託なさに
胸つまるものを感じます。年度の終盤を迎え、これまで育んできた充実を、身体的にも知
能的にも存分に発揮して、走る、歌う、あそぶ。ふだんであれば、それもまた納得してい
たことかもしれませんが、このような事態が続く今、無垢なる輝きに今更ながら驚きもし
深い感銘を覚えるのです。

法句経というお経に、こうあります。

「人間に生まるること難し やがて死すべきものの いま生命(いのち)あるは有難し」
人間として生まれたこと、今いのちあることは当たり前ではない、実に有難い(有るのが
難しい)ことなのだという気づきは、こういう安全が脅かされている時こそ募るものです
。自然災害に襲われた後、日常の平穏に感謝する。重篤な病気から回復して、家族のおか
げを知る。よく似た感情です。

感染症のおかげなどと誰も思いませんが、でもこうした時にわが子への愛おしさ、尊さが
こみ上げてくるのも事実です。つつましさとも言えるし、畏敬の念にも近い。これは「有
難し」いのちへの気遣いなのだと思います。その感情を不安や怒りに増長させるのではな
く、今は静かに心の箱に収めておくしかない、と思います。

状況は予断を許しません。まん防後も、収束まで遠い道のりが続きます。マスク生活には
すっかり慣れたが、その分笑顔が乏しくなっていないか。歌声がかすれていないか。そん
なことを鬱々思うのですが、それでも子どもは一日一日成長していきます。これまで以上
に、健気さをを感じるのは私だけでしょうか。

今はその安泰を祈って、丁寧に心を配りながら(感染対策も含め)日々を過ごしてまいり
ましょう。朝の来ない夜はない。今は祈りの日々が続きます。

ページトップへ