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教育を選ぶ人。親が成長を実感できる園とは。

2023年5月15日

パドマ幼稚園は比較的受験熱の高い幼稚園です。「お受験の幼稚園」というほどの自覚はありませんが、実際に多くの年長児が国私立の小学校に進んでおられるのは事実です。「小学校受験 現代日本の教育する家族」(光文社新書)という本を読みました。お受験を揶揄したり、煽ったりする内容ではなく、日本大学の望月由起教授があらゆるエビデンスを集めた論述したいたって真面目な本です。著者の意図の一つには、「実態を知らないまま偏ったイメージそのまま固定観念を持つ人」の誤解を解くという一面もあるのでしょう。

同書の中で私が共感したのは、教育に対するスタンスを巡る4つのグループ、「教育を操る人」「教育を選ぶ人」「教育を受ける人」「教育を受けられない人」の類別でした(志水宏吉)。近年、ペアレントクラシー(親格差)という言葉が生み出されるほど、「教育格差」は拡大していますが、とりわけ子どもにとって最適と思われる教育を選びとろうとする、「教育を選ぶ人」の存在が際立つようになり、教育熱心な親ほど受験に対し目的的であるという指摘でした。

一方で「教育を受けられない人」もいるのですから、ここは公平な議論が必要ですが、そもそもパドマ幼稚園の場合、入園テストがある段階で選んでいただいているので、「なぜ選ばれるのか」に的を絞ります。当園では、毎年、新年度入園される保護者に事前アンケートを取っているのですが、そこで必ず「最終的に入園志願を決定した理由」をお聞きするようにしています。そもそも幼稚園選びを開始された時期が、「0歳から」という方が多いのですが、令和5年度入園予定者の90%超が「教育方針と活動」を第一に回答されています。幼稚園としてありがたい限りですが、やはり「教育を選んで」おられるのです。

もちろん教育本位であるのは子どもの成長を願ってのことですが、もうひとつ同書を通して感じたことは、選ぶ人ほど自身の成長や家族の結びつきなどを強く念じているという点でもありました。小学校を受験する家庭の大多数では、「親子ともに成長していくことのできることで、同じ目標を持ち、親子関係をよりよいものにするのではないか」「親子が密に関わり、信頼関係を強めた」「夫婦でよく話し合い、心を一つにすることができた」(同書自由記述より)など子育てに対して、成長や信頼といったポジティブな感情をもつのであって、これは受験という囲いを払っても、幼少期の教育機関に等しく言えることではないでしょうか。

園は、親子がともに成長できる場として選ばれているはずなのです。小学校を受験するしないにかかわらず、「教育を選ぶ人」が、確かに私も成長していると実感できる幼児教育こそ、当園が目指すものでありたい。そう願っています。

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