赤色赤光

AIネイティブの子どもたち。みんなとできる。ひとりでもできる。

2023年10月13日

去年の暮れからチャットGPTが世界中を席巻し、いよいよAI時代が到来した感があります。ほんの数十秒で長文の会議録を要約したり、英訳したり、大学生の卒論だって代わりに書いてくれるそうで、文科省は、早速に小・中学生の宿題にチャット GPTの使用禁止のおふれを出しました。もちろんなんでも正解というわけではないらしく、チャット GPTは「本当のような顔をして嘘をつく」特技もあるそうですから、こちら側に虚実を見分ける力が必要となるようです。
何が課題で、何が本質なのか、それをじぶんで学ぶ。じぶんで考える。行動する。今しきりにいわれる「主体的な活動」あるいは「探究型」「対話型」とは、こうした社会変化の中で問われているもので、人生の最初期である幼児の時から必要といわれる所以です。
パドマ幼稚園も同じです。コロナ以前から徐々に保育の見直しを図り、2021年に保育方針の改定や「目指す5つの姿」を制定、22年度、そして今年度と、アップデートを重ねてきました。何十年も前から唱えてきた「ひとりではできないことが、みんなとならできる。みんなとできることは、やがてひとりでもできるようになる」、シンプルにいえば、「仲間集団のつながりとじぶん主体の両立」を目指してきました。
とくに最近は、主体的な活動がクローズアップされているので、そちらに注目がいきがちですが、当園の代名詞でもあることば日課や運動ローテーションは、毎日くりかえし「みんなとできる」楽しさにあふれています。人はひとりでは生きていけません。みんなと生きていく関係性やプロセスの中に、一人ひとりの自立があります。「個別最適化」の加速が、間違っても孤立やコミュニケーション不全を生んでしまってはならないのです。
「みんなとできる」集団の活動は愚直なまでに続けてきた、パドマの土壌であり、その根っこがあって、「ひとりでもできる」主体が芽生えつつあります。子どもの育ちとは、土と芽の二層の関係にあるのです。

今を生きる子どもたちは、やがてAIネイティブと呼ばれるのでしょう。AIをうまく使いこなすだけでなく、これをツールとしてどのような未来社会を創造できるのかは、その新たな担い手たちの可能性にかかっています。
当園の「じぶん主体と集団のつながり」の教育は、来るべき新時代に向けて、今、子どもたちにいちばん大切なことを、ともに育んでまいります。

(「わらまんドキュメント」10/11刊556号より抜粋)

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