赤色赤光

■恩は互いに恵みあう。卒業参拝を終えて。

2024年3月4日

先週の金曜日、年長児全員が揃って恒例の卒業お礼参拝に参りました。百万遍知恩寺の大伽藍の中で、園児たちと保護者の皆様とご一緒によろこびの音楽法要を勤めさせていただきました。冷気が染みる堂内でしたが、胸に熱いものが込み上げました。
その後、私から、子どもたちに「四恩」についてお話をしました。私たちは今日あるのは、私一人の力ではない。先生のご恩、友だちのご恩、ご両親のご恩、そして仏さまのご恩、この4つのご恩についてお話しするのは、毎年の習わしとなっています。

京都から一旦、幼稚園に戻って、その後は子どもたちと先生たちの交流会となり、年少時代からお世話になった多くの先生と心おきなく楽しい時間を過ごしました。歌ったり、ゲームをしたり、ドッチボールをやったり、残り少ない時間を愛おしむように共にあそびました。
そして最後に、体育館で職員全員を前に、子どもたちから卒業の言葉と歌のプレゼントがありました。歌は「はじめの一歩」。幼児期は、人生にとってほんのわずかな時間ではあるが、でもその真意は太い根っことなって生涯を支え続ける。それをひしひしと実感させる歌声でした。何人か涙ぐむ先生がいて、このひとときは、この天職を選んだ幸せを噛み締める時間となりました。
子どもたちが帰路についた後、私から先生たちに「私たち職員もまた子どもたちからたくさんのご恩をいただいている」と述べました。恩というのは、誰かから一方的に施されるものだけでなく、互いに恵み合う、互恵的なものであり、そのよろこびがあるから、今の涙があったのではないかと伝えました。

ご両親もまた同じではないでしょうか。子育てにおいて、たくさんの愛情を注いでくださったことはもちろんですが、親もまたわが子から、いえ、わが子と多くの幼稚園の仲間たちから、たくさんの希望や勇気を授かったのではないでしょうか。それは、あなたの人生において、確かな幸福のよりどころとなっているのだと思います。
そのような恩を互いに送りながら、慈愛あふれた家族や地域社会をつくること、それこそが仏様への本当の「恩返し」であると感じました。ありがたいことです。南無阿弥陀仏。

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