赤色赤光

幼児の体育活動は、心の基礎工事。

2011年2月16日

子どもの体力低下が深刻です。

文科省の調査では、子どもの体力は昭和60年頃をピークに低迷しており、学校事故では「まっすぐ走れない」「転んでも手をつけずに顔面の怪我をする」などが続出、専門家からは「走る」「投げる」などの基本動作や運動慣習が幼児期から身についていないことが原因とされています。報道によると、同省では、新年度に幼児の運動量の目安を示す「幼児期運動指針」の作成を計画しており、3歳から5歳児の運動の種類や一日の運動時間の目標や頻度など年齢別に示すことを準備しているといいます。

 

さて、わが園では、なかなか実感が浮かばないお話なのですが、確かに卒業生が、小学生になってからとたんに運動量が減って、戸惑いを覚えるという感想はあります。一つは小学校から体育が専科活動になって、授業単位でしか経験できなくなるからではないでしょうか。

例えば、当園の体育ローテーションは、いわゆる「体育の授業」ではありません。音楽とリズムにのせて運動が組み合わさり、そこに多様な人間関係が混ざり合い、一日のはじまりを刻んでいく。体育レッスンでは、、「できる子」「できない子」が互いを励まし合い、応援しあい、信頼関係が育っていきます。その関係があって、初めて子どもは、意欲の花を咲かせるのではないでしょうか。「からだ」は、「あたま」「こころ」と別々の器にあるのではないのです。

仏教では「心身一如」といいます。心と身体は一体であるという考え方です。知だけが勝っているのではない。いや、むしろ、健全な身体があればこそ、心は育つのであって、幼児期とはそのたいせつな心の基礎工事を営んでいると考えるべきだと思います。

スポーツの勝敗や記録よりもっとたいせつなもの……それが身体で育む「生きる力」なのです。

ページトップへ