赤色赤光

「違い」こそ励みの果実。もうすぐ教育懇談。

2011年4月28日

 幼稚園の空に全園児手作りの鯉のぼりが舞いました。うろこは子どもたちの手形。眼やひれ、尾も子どもたちの作です。毎年のことですが、宙を泳ぐ雄大な姿を見ると、園児たちの健やかな成長を思います。さわやかな5月がもう目前です。

 

 週末から入園児を含む、全園児の保護者のみなさんと教育懇談が始まります。入園児たちにとって、はじめての幼稚園生活も3週間が経ちました。私も毎朝時間の許す限り、玄関でお迎えしていますが、日常の一コマを重ねてみると、子どもたちの成長ぶりには目を見張るものがあります。自分からお母さんに手をふって、力強く園舎へ踏み出していく子。最初はお母さんの胸にすがっていたが、やがて当番の先生の手にひかれ、廊下を渡っていく子。最初、あんなに玄関でむずかっていたあの子も、教室に行けば、そう、「幼稚園の子ども」になるのです。

 子どもは、今、家庭と幼稚園のふたつの世界を行き交っています。家庭では存分に両親の愛情を独占しますが、幼稚園は世界が異なります。集団、仲間、先生、規律やルール、そして活動。しかし、最年少の2歳児だって、登園間もない時間帯は泣く子もいますが、日課活動が始まると、ピタッと泣きやんで、活動に集中するのです。人間は本能や感情のまま生きているのではない。模範としての先生がいて、親しい仲間とともに、心地よい関係を醸し出せば、誰もが自ずと活動に参加していく本性を備えています。園では、何でも自分の思い通りにはなりません。だが、だから一人ではできないことが、皆と力を合わせれば、できる。その共同の喜びこそ、社会的存在である人間性の本当の目覚めなのだと思います。

 幼児教育とは、家庭と幼稚園が両輪の輪となって、子どもを育むものです。年度当初の懇談会では、まずご家庭と担任教諭の密なるコミュニケーションをねらいとしています。ご家庭でのお子さんのようす、幼稚園でのようす、をそれぞれ話し合いますが、相互に「違い」があって当然です。いや、その「違い」こそわが子ががんばっている証左であり、将来の果実となるものです。小さな変化を、大いに評価してあげてほしいのです。

 逆にお母さんの不安は必ず子どもに移ります。子どもたちを信じ、マイナスをプラスに変えていくような前向き思考でかかわってあげてください。

 昨日、泣いていた子どもが今日は泣かなかった。昨日、カードを見ているだけの子どもが、今日は初めて言葉を唱えた。食べられなかった給食を、口にすることができるようになった。幼稚園生活は、目には見えない小さな成長の連続です。一足飛びに「できる子」などどこにもいない。毎日コツコツと不断の営みを重ねることで、幼稚園生活は子どもの心身に定着していきます。

 皆と協力して、支えながら、響きあう。できなかったことが、少しずつできるようになる。自分の可能性を知り、生きる喜びにつながっていく。それが、教育というものの本質的な意味なのです。

 家庭と幼稚園が協力しあい、子どもたちの満身に、生きる喜びを届けていきましょう。

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