赤色赤光

「楽しい」とは、ともに生きる喜びに出会うこと。

2011年5月24日

 新年度が始まって2ヶ月が経ちました。まだ玄関で少しむずかる子どももいますが、大丈夫、園生活を十分満喫してくれています。その証拠が、4月の出席率は全学年平均97,6%。この数字は驚異的です。
その理由は、まずご家庭が幼稚園を信じて子どもを送り出してくださっているから。そして、子どもたち自身が幼稚園生活を楽しんでくれているからです。ただしこの場合の「楽しむ」とは、ディズニーランドのそれとはまったく趣が違います。

 

 

 遊園地的楽しさとは、簡単に言うと、自分は何もしないでも、勝手に「楽しませてくれる」仕掛けとサービスがあるということです。カートに乗りさえすれば、勝手に「楽しい」世界へと連れて行ってくれる。ここでは子どもはずっと受け身なお客さんです。

 幼稚園の「楽しさ」とは、それと本質的に違うものです。その極意は、子ども自らがさまざまな体験を通して、全身で感得していくということ。しかも、ひとりではない、みんなとだから楽しめるのです。

 毎朝の日課活動がまさにその典型ですが、クラスの子どもどうし一緒に活動を通して、全身を響かせながら、連帯感や絆を高めていく。みんなの中の自分に気づく、といってもいいでしょう。やがて自分も共同体の一員であるという仲間意識(メンバーシップ)を目覚めていきます。幼児の「楽しい」とは、つまり「ともに生きるよろこび」に出会うことなのです。

 ともに生きるよろこび---ですから、幼稚園は、出会いの連続です。

 新しいクラス、新しい友だち、新しい先生…大人もそうであるように、新しい幼稚園の環境に子どもは慎重であり、臆病な時があります。新年度当初、子どもが小さな抵抗を示すのは、新しく出会った世界を自分の中で受け入れ始めた、その最中なのです。子どもたちは、思案したり、ためらったり、試してみたりしながら、だんだんと「出会っていく」のです。

 人生というものは、出会いの連続です。が、出会いは、生ものです。ネットとか携帯の中にも擬似的な出会いはありますが、それでは情報交換はできても、人間どうしの交流は難しい。人間を「人と人の間」と書くように、人は人に支えられ、助けられ、生きています。幼稚園の子どもは、いま自ら人間として立ち上がろうとしている。そのたくましさ、ひたむきさ、凛々しさに、どうか心からの敬意とあたたかな応援をお願いしたいのです。

 

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