赤色赤光

PISA「読解力」急落。早期の言語体験を。

2019年12月12日

先日、昨年に実施されたPISA(国際学習到達度調査)の結果が公表されました。おなじ
みになったOECD(経済国際協力機構)主催の世界統一学力テスト(世界79ケ国、60万人
の15歳が参加)、今年も日本は「数学」「科学」では健闘するも、「読解力」の下降は歯
止めがかからず、過去最低の15位という結果に終わりました。
そもそもこの手のランキング、どこまで意味があるのか異論のあるところですが、メデ
ィアではこれまで同様にSNS批判と、本や新聞の習慣の必要性を繰り返しています。曰く
LINEで短文しか読まないから深い読み込みができていない。読書率は世界最低クラスで、
チャットはほぼ毎日(87。4%)と世界一ですから、それはごもっともなのですが、幼稚
園の園長の立場からすると、15歳にしていまさら読書の習慣を、といってもむずしい気が
します。
もはや小学生のほぼ半数がスマホを所持している実態からいうと、もっと早期からの言
語環境、読書習慣を見ていかないと、闇雲にSNS批判をしていても後顧の憂を残すばかり
でしょう。
もちろん幼児の段階から読解力など求めるべくもありません。まず身体づくりこそ基本
ですが、同様に幼い時からの絵本読み(読み聞かせ)、作文活動、ことばあそびなど早期
の経験があるなしは将来に大きな影響を及ぼすことでしょう。それ以上に、子どもどうし
がことばを使ってかかわったり、伝える・教える・考えるなど、そういった言語力の芽生
えは、いわば将来の読解力の出発点として価値あるものでしょう。そこから毎日の幼稚園
活動を見直すと、毎日の絵本読みの習慣はいうまでもなく、古典の語感に親しむ音読・素
読や、情感を歌い上げる歌唱も、読解力へのリソースといって差し支えありません。
2学期後半からプレイルームのおもちゃの脇に、いくつもの裏紙を置いて、子どもたち
が自由に言葉や絵を書き留める活動を並行しています。レゴの計画づくりや、レストラン
のメニューなど、実に多彩で主体的な言葉が幼稚園のあちこちから生まれているのです。
SNSを悪者にしても始まりません。要はLINEに隷属しない、根の太い読解力を今から育
てていくるしかないのです。

ページトップへ