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新年度スタート。幼稚園を社会にひらく、ということ。

2024年4月22日

おかげさまで新年度が順調にスタートしました。今日は汗ばむほどの日和で、早くも初夏を感じさせます。
幼稚園も新園長体制となって、清々しい出発となりました。新年度準備の頃は、この一年の幼稚園について、職員とともに話し合いの場を持ってきました。
今当園の目標の大きなキーワードは「開示」です。毎日発信されるドキュメンテーション、保育や行事についてねらいの設定、学校評価の精度、毎学期開催された「いきいきトークカフェ」等々、昨年度はいろいろな試みがありました。これは今後もいっそう深化していくものと言えましょう。
開示とは、「ひらく」ということですが、ただ露出することとは違います。パドマ幼稚園を中心に、その理念や実践に共感する人々が集まり、園内だけにとどまらず、世代や立場を超えて交流したり、協働したりする新たなつながりづくりを目指しています。昨年の70周年の記念祝賀会でも、卒業して10年以上も経つ年配の保護者たちが、現役の保護者とどれほど楽しげに過ごしていたことか。幼稚園は、大人にとってもうひとつの人間関係の場であることを改めて感じました。
また、「ひらく」とは外部に向けて語りかけていくことでもあります。それは在園あるいは卒園した保護者だけにとどまるわけではありません。園児の進学先である小学校の先生方、あるいは公開保育にお越しになる他園の大勢の保育者、学会発表を聞いてくださる大学の先生方等々、いろいろなご縁に結ばれて幼稚園は多様にひらかれていきます。幼稚園とは、その存在自体がゆたかな情報発信源なのです。

文科省の幼稚園から高校まですべての教育要領に、「社会に開かれた教育課程」というフレーズがあります。学校園の教育は教室の中だけでなく、地域や社会と連携していこう、というものですが、安全やプライバシーが優先される学校は、逆に内部に閉じこもりがちです。ひらく、からといって、無頓着に外部者を受け入れることはできません。
4月1日から、パドマ幼稚園70周年協賛事業として、パドマエデュケーションセンター(PEC)がオープンとなりました。小学生のアフタースクール、STEAM教育、音楽レッスンのスタジオ等々特徴は多々あるのですが、もう一つの素顔は、ここが「社会に幼稚園をひらく」ラボ(実験場)であるということです。まずパドマの教育を小学生にしっかり引き継いでいくことが基本ですが、子どもだけでなく幼稚園をめぐる多様な人間関係を、現役保護者も含め巻き込んでいきたいと思います。PECは幼稚園の広場なのです。
70年の間、パドマ幼稚園で培われてきた文化があります。それは仏教教育、総合幼児教育であるし、アート活動、身体活動もそうだし、さらに子どもを思う大人の慈悲心や公共心といったものも広い意味で「幼稚園文化」といえます。それをPECの舞台でじっくり醸成させながら、未来の幼稚園のためにも社会にひらいていこうと思います。
去年の暮れから、パドマ幼稚園では「地域開放事業」が始まっています。0、1、2歳の未就園児の親子に、出願の有無にかかわらず、幼稚園の魅力にふれていただこうとさまざま企画を実施しています。たくさんの楽器にふれてみたり、プレイルームのおもちゃで遊んだり、食育や絵本の講座で学んだりしながら、地域の家族どうしが初めて出会っていくのです。
幼稚園を社会にひらくということ。少子化と個別化が同時に進む今だから、その意味は小さくないと思います。

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