いのちは尊い。子どもと地蔵盆。
2024年8月20日
酷暑の続いた8月も後半となり、2学期も間近となりました。
お寺では長いお盆の季節を過ごしてきましたが、そのフィナーレを飾るのが地蔵盆のお祭りです。近年暑さや天候を考え、体育館の屋内開催となっていますが、それでも浴衣姿の子どもや家族の盆踊りは、夏の風物として心を和ませてくれます。
そもそも地蔵盆とは、子どもの守り神であるお地蔵さまに加護を祈るのが由来であり、子どもが主役の仏教行事です。
ひろく知られた伝説によれば、地蔵菩薩が、親より先になくなった子どもが賽の河原で苦しんでいるのを救うという伝承に依っています。昔は子どもはか弱く、しばしば幼いうちに亡くなりました。当然そのいのち長らえることを願う親や地域の切なる気持ちもあったことでしょう。盆踊りも夏の終わりに先祖の御霊を送る、つまり別れの祭りですから、その双方ともにぎわいとは裏腹にどことなく切ない感覚が漂います。
盆踊りも最近は縮小傾向にあり、商店街やスーパーでの集客イベントとして実施しているところもあるようです。私の勝手な推測ですが、そういう場ではにぎやかさだけが強調されて、儚いいのちを想うような切なさはかき消されていくような気がします。
病死こそ少なくなったが、幼い子どものいのちが繊細であることに違いはありません。昔とは違った意味で、子どもが生きることは今の時代の方がきびしいのかもしれません。
純真無垢な幼児たちが、父母と一緒に至心に手を合わせている姿は、見ているだけで胸に迫ってくるものがあります。この子たちの未来は本当に明るいのだろうか、あるいは私たち大人は、そのために今何ができるのだろうか。また、これからの将来もできる限りのことを精一杯努めよう。地蔵菩薩の穏やかな笑顔を見つめながら、そんなことを感じるのです。
あと10日ほどで2学期です。元気な子どもたちの笑顔がまた幼稚園に帰ってきます。園舎にひびく子どもたちの歓声が楽しみです。