赤色赤光

サウンドスケープ。今日から2学期。

2025年9月2日

今日からいよいよ2学期。夏休みから帰ってきた子どもたちの元気な笑顔と、「おはようございます!」のたくしい声に私も先生方も、大きな喜びとともに新学期を迎えてます。長い休みを経て再び集うこの瞬間、子どもたちの成長を感じるとともに、これから始まる日々への期待がふくらみます。

さて、近年は異常気象影響もあり、夏の間は熱中症対策として屋外での活動に制限がかかることが少なくありません。夏休み中も色々配慮あったのではないでしょうか。

安全を最優先にするためには大切なことですが、その一方で、子どもたちが街中で耳にしていたはずのさまざまな音――往来の人々の話し声店舗でのざわめき、虫の声や風鈴の音――そうした社会の音にれる機会が減っていることに、少し寂しさを覚えることもあります。この「音の体験の退化」は、実は見過ごせない課題の一つです。

AIやデジタル機器が発達し、静かな室内での活動が増える時代。イヤホンやヘッドホンを通じて整えられた音ばかりを耳にする日常では、生の音、生活音、雑音までも含んだ“本物の音の世界”に出会うチャンスが少しずつ失われつつあります。しかし、こうした何気ない音こそ、子どもの感性や想像力、社会性を育む大切な栄養といわれています。

だからこそ、幼稚園のサウンドスケープ(音の風景)をゆたかにしたい。朝の歌声、名前カードに応える返事絵本に息をのむ静けさ、来月の運動会に向けては幼い歓声が上がることでしょう。そのどれもが、子どもたちが社会に参加する練習帳であり、ことば・注意・情動の調律装置でもあるのです。

世界を形造り音の世界を、「サウンドスケープ(音の風景)」と言います。デジタル音や人工音だけでなく、この生の音の風景こそ幼稚園の魅力の一つです。私たちも子どもたちとともに声を出し、歌を歌い、ときに耳を澄ましながら日々を紡いでいきたいと思います。

幼稚園にいらしたら。わずかな時間、目を閉じて、耳を澄ませてみてください。子どもたちの笑い声や歌声の向こうにある、小さな気づきや成長の音が、きっと聞こえてくるはずです。

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