赤色赤光

雇用崩壊。「意欲」をいつ、どのように育むのか

2009年1月22日

年末年始、テレビから流れた「派遣村」の映像は、お屠蘇気分をすっ かり吹き飛ばしました。「雇用崩壊」の言葉が踊り、これほど先行き暗い年明けもなかったと思いますが、一方でどうも雇用が制度とか保障のレベルだけで語られるているのが気になって仕方ありません。

いま農業から介護まで、慢性的な人手不足を嘆く業種も少なくないのです が、サービス業が大勢を占める今、日本の雇用のおおよそは市場サイドの管理下におかれていることの証左でしょう。つまり、働く人が主人公になっていない。 働くことの基本原理は、能力とか適性以前に「意欲」です。社会人の場合、生きる使命の多くは仕事に対する「意欲」の持続と重なっていますが、それが息切れ している。

これを教育の言葉に置き換えれば、「生きる力」といってもいいのですが、残念なことに、日本の子どもたちにもそれが著しく減退傾向にあるのは、最近 の国際学力調査の結果からも明らかです(08年国際数学・理科教育動向調査)。勉強にも勤労にも、モチベーションが上がらなくて、「生きる力」など湧いて くるはずもありません。問題は、目には見えない「意欲」や「やる気」をいつ、どのように育むのか、ということです。

雇用の問題と幼児教育を無理やり結びつけるつもりはありませんが、やはり幼少期の教育の責任は大きい、 と思います。パソコンとテレビ中心の個人消費型の生活が浸透するほど、人生最初期に出会う社会体験や他者関係といった、幼稚園の持つ価値は高まっていきま す。わかりやすくいえば、人生最初の原体験はその子の一生の意欲や心情を決定するからです。パドマ幼稚園が、集団の中の「個」を一貫して扱ってきたのも、 子どもの主体性と意欲形成こそ幼児教育の要諦であると信じているからです。

半端な知識や小手先のスキルを教えても、何にもならない。日立製作所フェローで脳科学者の小泉英明さんが言う「意欲や志、情熱こそ、科学、政治、経済ほかすべての分野において、未来の日本を創る原動力」(読売新聞)という発言に賛成です

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