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保育の質の向上。幼稚園で「研究」するということ。

2019年8月4日

7月の終わり、総合幼児教育研究大会にて、当園の最年少2歳児について研究発表を行いました。昨年1年間、つくし組に専門の若手研究者が入って、継続した観察と記録を集大成したもので、発表も2時間にわたる堂々たるものでした。

保育・幼児教育の世界は、今、半世紀に一度と言われる「激動期」にあります。教育改革への連動はもちろん、幼稚園教育要領等の法令の改定、また秋から始まる無償化の影響もあって、「保育の質」「教育の質」が厳格に問われ始めています。

難しい課題もあります。幼児教育は小学校以上のような標準化された教科書がなく、また数値で表されるような評価もなかったからです。それはそれで幼児教育の柔軟で多様なあり方を保証してきたのですが、これからの時代、人口減少、人材難の時にこそ国力を集中すべきとの議論が高まってきています。

したがって、その現場たる幼稚園(や保育園、こども園)も「保育の質」を向上させるべくこれまで以上に努力をしていかねばならないのですが、何を持って「質の向上」というのか、教科書もテストもない世界で、どう納得できる「質」をつくりだしていくのか、幼児教育の新たな方向づけが必要となっているのです。

このたびの当園の研究発表は、まさにこの「質の向上」のための実践的アプローチでした。2歳児がどのような過程を辿って発達していくのか、普段は現場の先生の経験知に収められてきたものを、画像や言語を使って「見える化」し「共有する」画期であったといえましょう。子どもの成長の変化をビデオで視るなど、新たな手法も披露されました。

平生の多忙な保育現場の中で、長い時間をかけて取り組む研究はけっして容易なことではありません。しかし、大きな視野と、確かな実証があってこそ、日常は生きた素材になるはず。これからの幼児教育の地平を切り開くために、当園が担うべき使命は決して小さくはないと考えています。

 

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