赤色赤光

■プールあそび

2021年6月21日

6月からプールあそびが始まりました。当園の15メートル温水プールは、天蓋付きですので、雨の日も楽しむことができます。
プールは子どもたちに絶大な人気を持ちます。園庭でも体育館でもいろいろな運動あそびはありますが、プールは少し違う快感があります。おそらくそれは自分のいのちの肌にふれるような喜びなのでしょう。
「親水」という言葉がありますが、なぜ人は水に親しむのでしょうか。かつて生まれる以前、母親の胎内の記憶に還るから、と聞いたことがあります。しかも人間の身体はおよそ7割が水分でできていて、それなくして生きていけない。水は、人間のいのちの大根源なのです。親しむというより、蘇るという感覚でしょうか。

プールの活動を見てみましょう。年長のメニューだと、まず体操、シャワー、バタ足、アクアビクス、顔つけ、宝探し、ビート板、流れるプール…という順番。ぶくぶく(バブリングといいます)もかなりの子どもたちができます。園としては、1学期終わりまでに、け伸び(水中に伏し浮いた状態で前へ進むこと)ができることをゆるやかな目標としていますが、まず個人個人の楽しさを優先してあげたいと思っています。
ラストは全員で「流れるプール」。プール内を全員で時計回りと反対にぐるぐる駆けて、水流をつくりだします。子どもたちはワーワー、大興奮。そのうち透明な流れが走った頃合いに、日昔先生の指示を合図に、子どもたちは水に身を任せる。浮いた!流れている!その時の幸せそうな表情に、思わずこちらも笑みがこぼれます。

じつは、ここにパドマ幼稚園の教育の原理があります。一定の流れに身を任せれば、自分が力を出さなくても、勝手にからだは動いていく。自分ひとりでは、流れをつくりだすことはできないが、皆が共に協調、協同することで、自発的に水流が走り出す。あとは、個が全体の流れに参加していけばいいのです。
ひとりではできないことが、みんなとならできる。みんなとできることは、やがてひとりでもできるようになる。私たちの実践のたいせつな教えが、プールの水中に溶け込んでいるのです。

3階の屋上プールからは、向こうに連なる生玉の森が眺望できます。都心とは思えない深い緑、それに添って歴史を刻んできた伽藍が並び、いまを躍動する子どもたちの歓声が響き渡ります。そこに、生命の象徴たる水がほとばしる。ああ、いのちはいつも循環している。ふと、そんなことを感じるのです。

 

ページトップへ