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■「スマホ脳」と運動ローテーション

2021年10月22日

運動会も1週間後となりました。コロナも少し落ち着いて、今週は運動ローテーションの参観があり、多くの保護者の方々にご見学いただきました。ありがとうございました。

運動ローテーションのねらいについては、以前の「わらまんプラス」でも詳しく書いていますので、ここでは繰り返しませんが、当日ご覧になった方が、体操・スポーツ教室のような印象を受けたとしたらそれは改めていただかなくてはなりません。
体操を教える、何かの技術ができるようにすることがローテーションの目的ではありません。朝一番、仲間とともに、一定のルールを保ちながら、全身の活力を発散する。身体に本来備わった機能をフルに使い尽くす(機能快といいます)ことで、脳を活性化させる。リズムとテンポのある一日の始まりを身体に刻み込む等々、跳び箱やマットはあっても、その目的は「できる」「できない」ではないのです。

話は変わりますが、今年一番よく読まれた本に、『スマホ脳』(新潮新書)があります。
スウェーデンの精神科医が書いたベストセラーですが、スマホを過剰に使うことによって、人間の「脳力」がいかに損なわれていくかということを詳細に記述し、世界中に衝撃を与えました。同様の趣旨の本は他にもありますが、この本の特徴は、スマホの弊害云々より、不活動な状況から「脳力」を鍛えるには、「運動」しかないと明言している点です。
「約100人の小学5年生に4週間毎日運動をさせ、実験を始める前と終了してから一連の心理テストを行なった。すると、集中力が増しただけでなく、一つのことだけに注意を向けるのも上手くなっていた。しかも情報処理も早くなっていた。驚いたのは、ほんの少しの運動でいいという点だ。運動は教室内で行われ、時間は毎日たった6分間!だったのだ」
一般に私たちは運動イコール体力、身体能力と考えがちですが、ここで筆者が強調しているのは、子どもの集中力や情報処理能力であり、人間の知的発達そのものの根源であるという点です。運動は、「脳力」をつくるのです。

ローテーションが体操教室と同じであれば、もっと早くもっと高くを競うことでしょう。しかし、ここでは子どもを外から規制する指導や法則はありません。仲間とともに流れを作り出し、そこに身体ごと参入して、「もっとあそびたい」「もっと楽しみたい」という内なる動機付けを自然に促すのです。それこそ、やる気、集中力、あるいは自立心といった非認知能力の芽生えといえるのではないでしょうか。
コロナとなって体力低下が心配されます。体力は、知力とも直結しています。旺盛な運動量を担保しながら、たくましい知力を育むために、当園では毎日毎朝運動ローテーションに取り組んでいるのです。

 

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