赤色赤光

絵本と育児を学ぶ。幼稚園の地域開放。

2024年12月21日

小さな集いでしたが、先週、「絵本講座」が開かれました。参加対象は、保護者ではなく、地域の乳幼児のお父さんお母さん。当園が今年度から始めた「地域開放事業」の一環です。
講師は当園の絵本アドバイザーの蓮岡修さん。たくさんの絵本を見てきたエキスパートです。
時折読み語りを交えながら、たくさんの至極の言葉がありました。
「絵本とは、子どもがはじめて出会う芸術。大切な人が、大切に、きれいだねと思いながら読むことが大事。知育のため、親の義務として読むのではない」
「いい絵本とは、おもしろい、感動、とはちがう。3回読んで、それ以上読めるかどうか。それでも、子どもが好きな絵本は良い絵本。否定する権利は誰にもない」
「言語を覚えることは後からでもできる。幼いうちはことばの応答が大切。ことばの発見。世の中はよいものであるという気持ちが育つ。そう思える人には、人が寄ってくる」
蓮岡さんのお話は、単なる絵本ガイドではなく、絵本を通じて人が育つ、親子がふれあう意味を述べてくれます。受講の皆さんもうなずきながら聞き入っていました。

さて、この講座を含む、当園の「地域開放事業」は、いわゆる園児募集のための事業ではなく、乳幼児の保護者であれば誰でも参加できるプログラムです。少し気取った言い方ですが、当園の地域貢献事業として始まった経緯があります。
少子化が進み、家庭が多様化する中、子ども(乳幼児)やその保護者をめぐる環境は、けっしてゆたかなものではありません。一緒にあそぶ友だちも場所も乏しく、気軽に相談できる機会もありません。まして、幼児教育について地域で学ぶことは(高額な費用のかかる教室を別にすれば)ほぼないに等しいのではないでしょうか。
幼児教育の専門施設として地域とともに70年の歴史を積んできた当園だからこそできることがあるはずです。職員や講師にも協力を求め、今年度から地域の皆さんに対し、みんなで乳幼児教育を学びましょうと呼びかけを始めました。
すでにこの春から、園庭開放から始まり、おもちゃで遊びながら交流を図ったり、広い体育館で親子一緒にあそぶ企画、また専門講師を招いて食育や絵本を学ぶ場を設けてきました。のべにして510人の親・子どもが参加してくれました。

絵本講座に参加した方のアンケートにはこんな声が寄せられていました。
「娘のありのままの個性を認めるということに欠けていたりと、 先生のお話を聞いて自省する部分が多く、大変勉強になりました。今後は、私自身も喜びを感じられる本を読み、娘と心温まる時間を過ごしていくこと、娘が成長した時に拠り所となれる時間を積み重ねていくことを少しずつでも実践して参りたいと思いました」
地域社会に開かれた幼稚園とは、こんな小さな場と変化を積み重ねることで実現していくのかと思います。

1年間ありがとうございました。どうぞよいお年をお迎えください。南無阿弥陀仏。

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