赤色赤光

幼稚園の子に生まれ変わる。入園式に思うこと

2015年4月3日

 幼稚園の新年度は、入園式で始まります。4月3日、平成27年度の真新しい仲間たち124名を迎えて、開催されました。空も何とか持ちこたえ、桜をバックに記念写真もにぎやかでした。

 幼稚園にはいろんな行事がありますが、とりわけ「入園式」「卒業式」「終業式」といった「儀式」は、いつの時代も人生の節々において「通過儀礼」の機能を持ち合わせました。儀式の前と後では、内面に変化が起きます。結婚式は、一男性が夫に、あるいは妻になり、葬式では、この世と別れ、新たに浄土に生まれ変わることになります。何かが終わって、何かが始まる。その転換点のそれぞれを、人間は「儀式」としてたいせつにしてきたのでした。
先月行われた卒業式はその最たるもので、園児たちは儀式を節目として園を巣立って、小学生になっていきます。間もなく始まる1学期の始業式も、前年度に別れ、新年度に出会う時。年少さんは年中さんに、年中さんは年長さんに、新たに生まれ変わるのです。進学進級とは、そういうものなのです。
では、入園式とは、何から何に生まれ変わるのでしょう。
小さな園児たちは明日から幼稚園に登園しなくてはなりません。そこは知らない世界で、皆知らない人たちばかり。何でも言うことを聞いてくれたお母さんの姿はありません。子どもにとっては、希望より不安の方が大きいことでしょう。
でも、人はいつかは、いまいる場所を卒業していかなくてはならない。いつまでも居心地のいい「家庭の子」ではいられない。それまで、家庭においては小さな王様だった子どもたちも、幼稚園の子、パドマの子、みんなの中のひとりとして新しい生活を始めるのです。  

 しばらく登園間もない頃は、むずかったり、嫌がる時もあるでしょう。ご両親を手こずらせるかもしれません。でも、それは当然のこと。毎日通園しているうちに、すぐに幼稚園生活の楽しさ、親しみに気づいてくださいます。1学期最初の参観のころは、見違えるほどのわが子の成長に胸打たれることでしょう。
そして、お家に帰れば、また「家庭の子」に戻って、次第に幼稚園の体験を話して下さることでしょう。それでこそ、社会の子。巣から飛び上がった幼鳥のよろこびなのです。 そう、これは、子どもたちに小さな人生にとって、ささやかではあるが、まことに大きな原体験なのです。 (RE)

 

ページトップへ