赤色赤光

ようちえんの先生に憧れて

2015年7月6日

女の子の将来なりたい職業には、たいてい5本の指に「先生」が入ります。それも幼稚園とか小学校の小さな子どもの先生。昔から、とくに女子にとっては憧れの職業なのでしょう。

先月、職場体験にやってきた中学2年生は、意外なことに6人のうち4人が男子でした。地元の中学校から依頼を受けて、2日間受け入れたのですが、幼稚園は人気の体験だそうで、なかなか狭き門だったようです。
ただ幼稚園の日常を体験してもらうのですが、中学生にとって、緊張や不安があったことでしょう。小さな子どもに慣れていないのか、園児に手をつながれたまま身動きできない中学生もいました。
体験を終えて、みんなから感想文をもらいました。
「ぼくはこの体験を通して、つねに園児に気を配ることの大変さは、すばやく状況を判断し動くこと、周りを見て正確に行動することの大切さを学びました」
おー、すごい。
「園児ひとりひとりに目を向けている先生を見て、『すごいなぁ、私にもできるかな』
と不安になりました。そんな時に、先生から『できていない子があったら、手伝ってあげて』とアドバイスをもらい、園児とふれあうことができました」
将来は保育士になりたいという女子からの声もありました。
もちろん中学生にとって、人生最初の体験だったと思いますが、そういう初々しい人を迎えて、幼稚園はいつになく華やいだのでした。

同時期に、大学の教育実習生を5名迎えました。将来は幼稚園や保育園の先生になろうとする、若い女性たちです。こちらは2週間、専門的に実習を受け、設定保育の担当もあるのですが、やはりいろいろ発見があったようです。
「今回の実習で『見守る』ことの大切さを学びました。今まで『手伝う』ことに気持ちが行ってしまい、困っていたら手を貸していましたが、何でも助けたり、注意したりするのではなく、自分の力でできるようにするための支援を考えていかなければならないと思いました」
「『先生』と子どもたちから呼んでもらった時にうれしさは、今でも忘れることはできません。うれしさを感じたとともに、『先生』と呼ばれることの自覚も芽生えました」
大学の授業ではわからない、関係のたいせつさを学んでくれました。

幼稚園の先生は、楽な仕事ではありません。体力も知力も使うし、子どもはもちろん真剣に保護者とも向き合わなくてはなりません。担任になればひとり、誰も加勢してくれず、自分で進めていかなくてはならない。それが不安だ、自信がない、という人もいることでしょう。
でもその何倍ものよろこびを、中学生や実習生の生の声にふれて感じるのです。初めてこの仕事にふれた時のよろこび(多くは自分が幸せな幼稚園時代を過ごしたという原体験)を心の支えにして、子どもとともに生きていく決意を新たにしていくのです。
憧れに憧れて、いつか自分の仕事にする。中学生の感想文を読みながら、すべての先生が、先生になったその日に思いを馳せていたのではないでしょうか。

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