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試行錯誤の実践こそ学びは大きい。 総幼研フォーラム開催される。

2024年2月5日

2月2日、総合幼児教育研究会の総幼研フォーラムが当園にて開催されました。全国から百名を超える園長先生、主任の先生らの参観がありました。
今回の大きな主題は、「総幼研教育と主体的な保育の接続」という課題でした。今、当園が進める「集団のあそび」と「じぶん主体のあそび」を、実践の場で公開するというチャレンジです。
もちろん「主体性の保育」という名の特別な活動があるわけではありません。単純なラベリングではなく、子どもの姿や関係のあり方を見直していこうという含意があるのですが、参観にいらっしゃる先生たちにとっては、その日その時間限りの見学です。何を見ていただくのか、「収穫」としていただくのか、当園の職員も熟慮してくれたことと思います。

さまざまなチャレンジがありました。例えば年長のあるクラスでは、擬音語を探す「音あそび」がありました。4チームに分かれた子どもたちが、園内のあちこちに出かけ興味のある擬音語をiPadに収録して、その音をみんなで当てるというゲーム。「音探し」という斬新な切り口で、友達と音のイメージを伝え合い、ことばで表現する、共有するというものでした。探究型ゲームといってもいいものですが、同時に、総幼研のプリント教材の大事な先行体験となっています。他にも日課活動から俳句づくりあそびに展開したり、自分たちのアイデアで構成するローテーションづくりがあったり、ワクワクするような場面が数多く見られました。
数年前の公開保育であれば、ローテーション、日課の後の参観は、子どもたちが整然と教材や楽器を扱う場面が続いたのですが、今回の試みでは、子どもの発言やアイデアがたくさん飛び出していました。先生と子どもという関係から、子ども同士で会話したり協同する経験が格段に増えたといえます。
午後の発表では当園の中島美和子総主任が、それぞれの活動の意図についてスライドを用いながら報告しました。こちらもすばらしい内容でしたが、参加した保育者のアンケートからはこんな声が聞かれました。

「パドマの先生方が試行錯誤しながら、ねらいや話し合いを積み重ねられてきたことがよくわかりました。主体性の保育は、なかなか難しいと感じてしまうのですが、発想の転換=先生と子どもと切り分けるのではなく、「私たち」へと広げるということで、私自身考え方を変えて、これから挑戦していきたいと思います。たくさんの勇気をいただきました」(保育園副園長)

終日、講師として参加していただいた保育学の研究者浅井拓久也・鎌倉女子大学准教授からは、設定保育でも自由保育でもない、その中間にある「中道の保育」という指摘をいただきました。言い得て妙なるものがありましたが、これについては、さらに掘り下げて検討していくことにします。なぜ私たちが仏教園であるのか、自園のアイデンティティにもかかわる要諦ともいえるでしょう。
ともあれ大きな公開保育が終わりました。もちろんこれは当園の進化のためのチャレンジであり、誰かの模範となるためのものではありません。しかし、当たり前のことですが、完成されたものより、試行錯誤の実践から得る学びほど大きいものはないと改めて感じています。

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