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私立幼小連携学習会。幼稚園をつながりの「のりしろ」に。

2013年6月17日

 

 6月14日夜、パドマ幼稚園で小さな学習会がありました。私立幼小連携学習会と銘打ったこの会、同じ私立の幼稚園と小学校が討論の場についたという点では、画期的な出来事だったかもしれません。もちろん、小学校受験については日常的に幼小のつながりはありますが、それは飽くまで進学の話で、両者が肝心の教育活動について同じテーブルについて話し合うという機会は、ほぼ初めてといっていいでしょう。
 

 なぜそのような場を企画したのか、それには私の思いがあります。
 

 そもそも小学校と違い、幼稚園は義務教育ではありません。同じ子育て機関としてなら、今は待機児童問題もあって都市部でも保育園がとても人気です。保育園は長時間で給食もある、また最近は幼稚園同様に教育熱心なところもありますから、長期的に見れば、幼稚園独自の存在価値はだんだんと後退していくと思われます。
一方、幼稚園は、家庭や地域と深いつながりを保ちつつ、ゆたかな資源性を育んできました。もちろんその恩恵はまず在園の子どもたち、保護者に提供されるべきものですが、公共教育機関の使命からいえば、「部外者はお断り」であってはなりません。在園しているいないにかかわらず、また幼児教育にのみ限るものでなく、広く幼稚園の存在価値を発信していくものであってほしいと思っています。当園のような伝統園であれば、それはなおさらのことでしょう。
  当園の場合、私立小学校との結びつきは、以前からたいへん深いものがあります。また、近頃は小学校の教員による当園保育見学も増えており、ここは幼少教育という本質的なテーマを共有しながら、一度議論をしてみようという試みとなったわけです。

 当日は、まず植草学園大学名誉教授の野口芳宏先生のキースピーチ、また当園とはご縁の深い大阪聖母学院小学校の藤原順子校長先生、追手門学院小学校の東田充司校長先生、そして私も加わって教育セッションを行いました。その中身はまた改めて報告もあることと思いますが、きわめて発見の多い場となったことは間違いないようです。

 

 野口先生が閉会のご挨拶で「私は公立(小)学校の経験が長かったが、今日のお話は私学にしかできない、すばらしいもの。私学だからこそ取り組める教育を、ぜひ連携して深めていってほしい」とおっしゃった言葉が印象的でした。
幼稚園教育を、幼稚園の中だけで閉ざさずに、広く小学校や大学、地域にも接続しながら、新たな潜在力を発揮する。幼稚園がいわば地域社会における「のりしろ」の役を担っていく。私は、そのことが、本当に意味で幼稚園の存在感を社会にとどめていくことにつながると考えているのです。
次は大学と幼稚園が連携して、地域に向けてユニークな発信を計画していきます。

 

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