赤色赤光

別れがあって。出会いがある。第59回卒業式。

2013年3月15日

 本日好天に恵まれ、パドマ幼稚園の平成24年度卒業式が営まれました。大勢の来賓や保護者の方に祝福されて、年長5歳児120名が巣立っていきました。

 

 卒業式に涙はつきものですが、卒業を祝いながら、人はなぜ涙するのでしょうか。
 4月からは初めての小学校生活が始まります。未知の世界に、期待と不安が半ばしていることでしょう。しかし、その前に、楽しかった幼稚園と別れなければならない。まだ見ぬ明日と出会うために、今日というたいせつな日々と別れを告げなくてはならないのです。
 人生には幾度かたいせつな「別れと出会い」があります。「出会いと別れ」ではなく「別れと出会い」。入学、進学、就職、結婚、出産、そして老いと死。出会いのステージはさまざまですが、その前に私たちは大事にしてきたもの喪う。あるいは放棄しなくてはなりません。学生生活を捨てて、社会人となるように、また、若さを失って、老いという「成熟」を得るように……未来は、現在を捨てることでしか築かれていかないという冷厳な事実に、私たちは涙ながらそれを受け入れていかざるを得ないのです。

 

 人生がそうであるように、幼稚園生活も二度とくりかえすことはできない。多くの思い出の宝箱に、「別れ」という封印をしなくてはなりません。ですから、悲喜こもごも人は涙します。微笑みながら、抱きしめながら幼い子どもたちは、それがただ悲しいだけの涙ではないことを無意識に悟ることでしょう。幼稚園の卒業式とは、子どもが生涯で最初に経験する「別れ」のたいせつな儀式なのだと思います。
 
ご卒業、おめでとう。いつまでもお元気で。

 

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