赤色赤光

幼児教育は「足の裏」をこそ育む。

2023年3月15日

本日、大阪国際交流センター大ホールにて、第69回卒業式が盛大に挙行されました。一旦のコロナ開け、まだマスク姿が大半でしたが、過去2回と違い、気持ちの晴れやかな式典ではなかったでしょうか。昨日の報恩感謝の日といい、今といい、いずれも暖かな日差しが子どもたちの行方を祝福してくれていました。

さて、この季節、幼稚園の玄関に掲げられる聖句は、坂村真民の「尊いのは足の裏である」という言葉です。元の詩をご紹介しましょう。

「尊いのは 頭でなく手でなく足の裏である
一生人に知られずに一生きたない処と接し
黙々としてその勤めを果たしてゆく足の裏的な仕事
足の裏が教えるもの しんみんよ
足の裏的な仕事をし 足の裏的な人間になれ
頭から光が出る まだまだだめ 額から光が出る まだまだいかん
足の裏から光が出るそのような方こそ 本当に偉い人間である」

この詩は、パドマ幼稚園年長児の3月の音読、つまり園生活で3年間続けてきた日課では最後の音読になります。
泥臭い詩です。もっと思い出や旅立ちを歌い上げる内容でもいいのではないか、と感じる方もあることでしょう。しかし、この詩は、卒業する園児だからこそ映える。そう思います。
年長児には今日が最後の園生活、また各学年も明後日にはそれぞれのクラスが終了となります。園生活は終わるけど、子どもたちの人生はまだまだ続きます。3年間の園生活で身につけたものはまさに足の裏的な力。知識や技術以前の、人として生きることの基本を体得してくれました。それさえあれば、大丈夫。地を踏みしめて生きていける、前を向いて歩いていける。これからの生を支える根元の大切さ、尊さを描いていると思います。

もちろん、子どもたちにこの詩の意味を教えることはありません。すぐれたテキストを音読することで、正しい人間の生き方のエッセンスを幼児の身体に刻み込んでいきます。読解とか解説とかに頼ることなく、永らえる言葉の魂を身体に染み込ませていくのです。言葉では説明し尽くせない、「足の裏から光が出る」ような人を、皆が一体となって音読で立ち上がらせていくといえばいいでしょうか。

パドマの幼児教育とは、まさに「足の裏」を育む教育。足の裏がしっかりしてこそ、駆け出すこともできます、踏ん張ることもできます。子どもの音読とは、そんな意思を涵養する心の教育でもあるのです。

コロナの3年間、子どもたちにもご家族にも心配をかけました。しかし困難をともに乗り越えてきて今日があります。それをよろこびあいましょう。卒業、進級おめでとう。新しい希望の4月を迎えよう。(RE)

 

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