赤色赤光

昔のやりかたをおろそかにしない。なぜ秋田県が学力1位なのか。

2009年9月5日

 先月、3回目となる全国学力調査の結果が公表されました。毎回注目を集める都道府県別の成績ですが、やはり上位の顔ぶれに大きな変化はなかったようです。

 大阪府の成績はさておき、またも小学校で秋田県1位、福井県2位、中学校ではその逆と、両県の学習環境の高さが裏付けられました、秋田県の小学生は8割が塾に通っていません。東京や大阪は通う子どもが5割を上回っているのに、これを凌駕している。なぜか。
その理由を秋田大学の浦野弘秋田大教授はこう述べています(河北新報)
「かつての日本では当たり前だった、学習環境と生活環境が今でもある」「授業に集中する、予習・復習を行う、朝食をしっかり取る。つまり「昔ながらのやり方を『変えないこと』」と。

 雪国の人は昔から勤勉だといいますが、日本人古来の基本的な習慣を実直に保っていることの勝利というべきでしょうか。地域共同体の絆が深く、みんなで支え合うことが「自立」「自習」という精神を育んでいます。自宅学習、自己学習が本来であるのに、それをおろそかにしたまま、塾などの外部の有料サービスに任せてしまいがちな現状に警鐘を鳴らしてるともいえないでしょうか。

 「秋田の子どもはなぜ塾に行かずに成績がいいのか」(講談社α新書)によれば、秋田の生活習慣はまったく典型的なもの。「早寝早起き」「朝ごはんを家族と一緒に食べる」「あいさつをきちんとする」「地域の行事によく参加する」等々。「授業中の態度がよく」「塾にはあまり通わないが、家庭学習をよくする」…。要するには昭和40年代頃までの日本の典型的な地域の姿なのです。

 何でも昔に戻ることがいいとは思いません。個人の自由やそれぞれの個性もあってしかるべきです。しかし、人間として自分がやるべきことを、別の外部にゆだねることが重なるほど確実に能力は退化していきます。その見極めが、まず当の子どもより、その環境をつくる私たち大人にとってたいせつだと思います。本当の自立とは、昔ながらのやりかたをおろそかにしないこと。幼児教育の要諦を学びなおしました。

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