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入園児たちのパワーに驚嘆する。ローテーションは「意志のギフト」

2009年4月20日

 

入園当初の混乱?から落ち着きを取り戻し、幼稚園の平常モードが始まりつつあります。子どもたちはどんな園生活を過ごしているのだろう、親御さんはみな期待と不安が半ばしておられるのでは、と思います。

先週のある朝、同じ総幼研の指導員の先生方が、入園早々の子どもたちを見学したいと、体育館での体育ローテーションを参観されました(年中・年長は園庭ですので、ここでは年少児のみです)。いずれも全国の総幼研の職員指導に当たる方々でしたが、その感想は「信じられない」の一言でした。「入園してまだ1週間の子どもたちが、まるで『流れるプール』に入るが如く、自然にローテーションの流れに参加している」。幼稚園の実態を知っている人であれば、目を丸くされたのも無理はありません。立ちすくんだり、ウロウロしたり、泣いたりしている子どもがいない。

体育ローテーションは、パドマ幼稚園の代表的な教育活動で、朝一番に身体に心地よいリズムを刻み、子どもの全身からエネルギーを燃焼させるのが目的です。いや、ここでは「体育」という冠は省いたほうがいいかもしれない。ランニングや器械運動の指導が目的ではなく、一日一日の「生きるモチベーション」を高めるのがこのローテーションのねらいだからです。

3月に文春文庫になった齋藤孝先生の「子どもの集中力を育てる」では、パドマ幼稚園の体育ローテーションを取り上げて、こう述べています。

「子どもは、基本的にエネルギーが余っている状態である。だからどう燃焼させればいいのか、プールで渦をつくる遊びでいえば、自分たちがつくっていく流れをもっと速くしたい、大きな渦をつくりたいという方向に向けられる。もっとエスカレートしていく、テンポアップしていく、エネルギーを燃焼させたくなるのが子どもの自然な欲求なのです」(要約)

では、子どものエネルギーを引き受ける、プールの流れはどこでつくられていくのか。身内褒めのようで恐縮ですが、体育館で若い先生たちの銘々の立ち位置、ふるまい、声、手拍子等々がその的確なインセンティブ(意欲刺激)となっていることに改めて感心しました。「参加」を促す全身の呼びかけとでもいえばいいのでしょうか、子どもたちがローテーションはたのしい、おもしろい、からだが喜ぶ、というような共感の色彩を体育館全体に塗りこんでいくような役割です。プールの流れの「骨格」ともいうべきものを、先生たちの躍動感あふれるパフォーマンスが描き出しているのです。

ローテーションの運動メニューの一つ一つはまだ小さなアクションに過ぎません。しかし、そこから醸し出されていく、やる気と達成感が入園児たちのこれからの成長にどれだけ大きな意志のギフト(才能)となるか、計り知れません。

来月には保育参観日があります。家庭ではふれることのできない、お子さまの意欲みなぎる姿に大きな拍手を送ってあげてください。

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