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学びに向かう力。就学前に何を身につけるか。

2012年10月29日

  秋の穏やかな朝日が園舎に差し込む頃、8時半には園児たちが続々登園してくるのですが、いま年中児の間では朝のご挨拶がブーム(?)です。学年全体の2学期目標「挨拶」の通り、子どもたちが三々五々、他のクラス、他の学年まで足を運んで「おはようございます」の声を届けます。もちろん、担任の先生からの励ましはありますが、それ以上に毎日の園生活の充実と、挨拶しあう好ましい関係がなくては、ここまで浸透はしないでしょう。

  ベネッセ次世代育成研究所が小1から3歳児までの子を持つ母親5016人対象に、「小学校入学前に身につけてほしいもの」調査を行いました(10/25朝日新聞)。ベスト3は「挨拶ができる」「あきらめずに挑戦できる根気」「人の話を最後まで聞ける態度」です。実際にこうした力が子どもについているかを尋ねると、順番に、91.7%、69.2%、77.7%の結果でした。まずは「挨拶力」はおおよそ定着しているようで安心しました。
 この調査は、家庭の母親を対象にしたものですが、幼稚園児であれば園と家庭の両方の面から子どもの生活態度をとらえなくてはならないでしょう。挨拶は「しつけ」の領域ですが、あとの二つ「根気」「聞く力」はむしろ園の集団生活の中で育まれるものです。
 ベネッセの調査では「学びに向かう力」を「自分の気持ちを言う、相手の意見を聞く、物事の挑戦するなど自己主張、自己統制、協調性、好奇心に関係する力」と定義しています。「根気」も「聞く力」も、小学校の授業に参加し学ぶ力の要となるもの。それが、幼児期の集団生活を通して育まれるのです。
 
「挨拶しろ」といって「挨拶」が普及しないように、「学びに向かう力」も強制して育つものではありません。子どもは生まれながら意欲的な存在です。自ら発達したいという本能的な願望をもっています。そこに、ことば、動き、リズムといった発達原理を活かして、自然に「根気」や「聞く力」を身につけていくのが、当園の教育実践の道筋です。園のすぐれた環境にかかわり、子どもが自ら主体的に経験してはじめて「学びに向かう力」が芽生えていくのだと思います。
 
ちなみに、「学びに向かう力」はすべて、その子の生活習慣の定着に比例しているというデータもありました。肝に銘じておきたいものです。

 

 

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