赤色赤光

初めてのオンライン説明会。集まることの意味。

2020年9月14日

先週土曜日に、当園初のオンライン入園説明会を開催しました。事前登録された希望者の皆さんに、これまた事前収録した説明会動画を決まった日時に配信する。コロナの状況下ではすっかり常套となった手段です。当日は、私がそのうち当園の理念と実践について講演を担当しました。

なるべく臨場感を大事にしようと、本来の会場である講堂にて、講演用のスライドを上映しながらリアルタイムで「実演」したのですが、1時間以上のお話を空っぽの客席に向かって行うのは、やはり不思議な体験でした。

説明会に限らず、一般にコロナ禍において「会う」「集まる」ことが制限されるようになりました。ソーシャルディスタンスとは本来、個人や組織の親和性の距離を言いますが、今や隣の人に寄り添うことも憚る時代となりました。

人類学者によれば、そもそも人類はどんな困難な状況でも集まる習性を持っています。人間にとって他者とともに在る、場を共有するというのは根源的なもので、危機を加えるとさらに必要性が高まるそうです。今でいえば、それがオンラインに取って代わりつつあるのでしょう(当園も4月5月の自粛期間中は、毎日、保育動画の配信を行いました)。

しかし、リアルな場でなければ伝わらない、共有できないことがあります。説明会で申し上げれば、期待を含んだ緊張感や期待感、共感とか安心感などそういう場の空気は動画では伝わらない。「集まる」とは情報の伝達や交換だけでなく、そういった空気や身体の感覚含めての交流だと改めて思うのです。

明日から今年度初めての保育参観が始まります。この状況の実施は早いのか遅いのか、わかりませんが、厳重な安全対策の上、決行を決断しました。

もちろん、まず常と変わらない子どもたちの様子を観ていただきたいのですが、それ以上に改めてクラスの「集まり」や友だちどうしのリアルなかかわりから醸し出される感覚……それを「元気一杯」とも「生きるよろこびと」とも言えるのですが……に注目をしていただきたいと思います。

1学期には長い休園や行事の中止があったので、例年と同じにとは言えないかもしれません。しかし、そういう異例の時だから、「ともに学び、育つ」意味を噛みしめないわけにいかないし、それを意識することで、目の前の子どものいのちの輝きにいっそう思いを深くされるのだと思います。また、今日まで無事に過ごさせていただいたお陰に感謝の念も抱かれることでしょう。

これからは、「新しい生活様式」が言われます。むろん三密対策を十分取りながら、私は「集まる」「ともに生きる」ことの意味をさらに掘り下げて、本当に主体的な園生活、子どもの発達のあり方について思慮を深めていきたいと考えています。

 

     

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