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コロナからの気づき。幼稚園、3つの役割。

2020年9月23日

4月から長い休校休園となって、にわかにクローズアップされたのが家庭教育の重要性でした。思いがけない事態となって、ご家庭では正直なところ困惑やお疲れもあったことと察しますが、逆に、休園となって初めて幼稚園の存在の大きさに気づかれたこともあったかもしれません。

ある民間会社が「(休園となって)保護者として再認識した園の役割は何か」という意識調査をしています。上位3つは以下の通りでした。

「家では教えられない豊富な遊びや言葉を教えてくれる」

「友達や先生などたくさんの人とふれあうことで社会性が身につく」

「規則正しい生活習慣やリズムを身につけさせてくれる」

調査のサンプルは保育園なのですが、結果は幼稚園でもさして変わらないでしょう。「豊富な遊びと言語活動」「社会性、共同体とのかかわり」「生活リズムの獲得」は、園教育になくてならない主旋律なのです。いずれも規律ある園生活から育まれるもので、私はそれを保護者の皆さんから気づいていただいたことに意義があると思っています。

もう一つ、大切なことは、こうした3つの役割はオンラインでは代替できないということです。

今やICTやAIは教育の改革において必須といわれていますが(当園も休園中オンライン保育を続けましたが)、しかし、すべてをオンラインで管理すればよいということでは決してありません。デジタル上には幼児向けの「遊び」「教材」があふれていますが、それと幼稚園生活における言語体験はまったく異質のものです。ましてや他者との共同体感覚はリモート会議のように画面上に成立するものではないのです。

また逆にいえば、私たち幼児教育関係者は、なぜその3つがリアルな園活動の中で重要なのか。子どもたちはそれをどのように獲得していくのか、どんな能力を育むのか等々、保護者の皆さんへわかりやすく伝えていくことが必要となります。幼稚園の説明責任ともいえるでしょう。

3つの役割のうち、私は園が必ず保障すべきは「生活リズムの獲得」と考えます。1日の中にも1週間、いや学期レベル、通年レベルでリズムはあります。幼児にとって、「生きることの躍動」といってもいいでしょう。テクノロジーではどうしてもつくりようがない。それを思いがけず休止せざるを得なくなったことを省みて、2学期スタートを早めながら(8月18日)、回復に向けて動き始めています。

園と家庭が子どもにとっていつも両輪の存在であれるよう、これからも努めてまいりましょう。

付記:上記3つの役割について詳細は、先週配布した総幼研ブックレット「コロナ時代と総幼研教育」に記しました。ぜひご一読ください。

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