赤色赤光

みんなでつくるよろこび。アートと非認知能力の関係。

2022年10月3日

10月月初の土曜日、当園初のアート祭が開催されました。従前は文化祭と称していたものを名称変更、名前だけでなくねらいや構成を練り直して、新たな行事としてリニューアルしました。

ひとつひとつの作品については、観覧いただいた皆さんのお声に任せますが、幼稚園として今回の最大のねらいは、アートを通して非認知能力の育成を明確に方向付けたことにあります。
非認知能力とは、IQや偏差値では測れない、生きていく上で必要な力をいい、その発達は子どもの将来や人生をゆたかにするといわれています。当園では、保育参観から入園説明会までくりかえしその重要性を述べてきましたが、いわばその開発プロセスを見える化したものがこのたびのアート祭なのです。
アートの作品は、大人から見れば、「絵画造形」であり「美術」です。しかし、子どもたちのアートは、ただ鑑賞対象としてだけでなく、制作プロセスにおいてさまざまな資質や能力を引き出すインセンティブとして大きな可能性を潜在しています。
一人ひとりの作品はもちろんですが、とくに共同制作では、友だちと一緒に「話し合う」「協力する」「表現する」や、さらに上の学年ではそこから気づきや発見が生まれたり、新しい方法を試したり、さまざまな能力が発揮されます。非認知能力がゆたかに育まれているのです。
育ちは、学年それぞれです。色や形、素材の面白みを味わったり、周りの友だちと共感して楽しむ最年少、年少、友だちとのかかわりが活発になり、イメージがふくらむ年中、また協同や交流を通して新たな創意や工夫を生み出す年長と、ならではのすがたはあるが、仲間とともにつくりだす楽しさはどの学年にも共通しています。これこそ幼稚園生活の最高のよろこびなのです。
年長のある保護者のアンケートにこうありました。
「今までの集大成ということもあり、個人制作は毎日コツコツと取組み、お友達と教えあったりして取り組んだと聞きました。丁寧に取り組んでおり、表現力が高くなったと実感しました。共同制作はこれを書いたよと自分が書いた絵を教えてくれ、みんなで話し合ってどこにどう書くか決めたよと教えてくれました。年少の頃から絵画でも様々な媒体を使い、表現してきた成果を見ることが出来、また自分の思いを上手く表現し、仲間とも協力する楽しさを身につけられたと思いました」
ここには、「粘り強さ」「語り合い」「発表力」「聴く力」「協同性」など限りない非認知能力が感じ取れます。

AIやテクノロジーが発展する社会では、直感や発想力、クリエイティビティ、コミュニケーション能力などが、もっとも人間らしい能力として期待されます。アートはその芽吹きの経験として、無限の可能性を備えているのです。

 

ページトップへ