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なぜ子どもの学習時間が減少したのか。 ライフロング・キンダーガーデン

2026年11月5日

最近、パドマ幼稚園ではお父さんたちの活動が活発になっています。夏の盆踊りでは手作りの縁日が賑わい、2学期早々には保護者が主体となった交流の催しも開かれました。さらに年末には、外部のNPOと協働した企画も進んでいるといいます。多くは、園からお願いしたものではなく、保護者自身の企画と行動によるものです。
PTA会長と話していると、こうした活動は単に子どもたちのためだけではないと感じます。異なる仕事や経験を持つ親たちが出会い、知恵を出し合い、試行錯誤しながら一つのことを成し遂げていく。そこには、大人たち自身の生きた「学習」があります。幼稚園は子どもの学びの場であると同時に、親たちにとっても学びの場になっているのです。

さて、学習といえば、最近気になるデータが発表されました。
ベネッセ教育総合研究所と東京大学社会科学研究所の共同調査によると、子どもたちの学校外での学習時間は、この11年間で約2割減少したといいます。さらに驚くのは、「何のために勉強しているのかわからない」と答えた割合が、小学4~6年生で40.2%、中学生では46.6%に達していることです。小学生に至っては、この9年間でほぼ倍増しています。
学習時間の減少もさることながら、学ぶ意味を見失っている子どもがこれほど多いことに驚かされます。しかし、これは子どもだけの問題でしょうか。私たち大人自身が、学ぶことの喜びや、その先に広がる未来への希望を語れなくなっているのではないでしょうか。勉強は受験や就職のため、学歴や収入を得るため。そんな功利的な説明ばかりでは、子どもたちが学びに夢を見いだせないのも無理はありません。
ここで思い起こすのが、MIT(マサチューセッツ工科大学)のミッチェル・レズニック教授が提唱した「ライフロング・キンダーガーテン」という思想です。直訳すれば「生涯にわたる幼稚園」。彼は、幼稚園の子どもたちの学び方こそ、人間が生涯にわたって持ち続けるべきものだと説いています。
子どもたちは、将来役に立つから積み木を積むわけではありません。面白いから遊び、知りたいから試し、友達と力を合わせて何かをつくり出します。失敗すればやり直し、そこから新しい発想が生まれます。想像し、創造し、遊び、分かち合い、振り返る。本誌の探究あそびがまさにそうですが、そこには学びの原点があります。
近年、大人の学習といえば「リスキリング」が盛んに語られます。技術革新に対応し、職業人として新たな技能を身につけることはもちろん大切です。しかし、学ぶことの意味はそれだけではありません。未知の世界に好奇心を持ち、異なる価値観に出会い、自分自身を問い直す。人間としての視野を広げ、人格を成熟させていくこともまた、生涯にわたる学びの大切な役割であると思います。
冒頭のPTA活動も、そうした学びの実践ではないでしょうか。親たちは子どもを喜ばせようと集まりながら、実は自分たちも新しい経験を重ね、仲間とともに成長しています。幼稚園への参加は、子育てへの協力であると同時に、大人自身の学びを豊かにする貴重な機会なのです。
未来に希望があるから学ぶのではありません。学ぶことを通して、未来への希望が生まれるのです。子どもに「勉強しなさい」と言う前に、まず大人自身が学ぶ喜びを取り戻したいものです。幼稚園の子どもたちは、そのことを日々、私たちに教えてくれています。

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