赤色赤光

秋の運動会。子どもたちの動きのバリエーションを育てよう!

2009年10月13日

10日、秋晴れの下、待望の運動会が開催されました。新型インフルエンザが騒がれる中、すばらしいことにひとりの欠席もなく全園児皆出席のもと、盛大な行事となりました。子どもたちも確かな自己の高まりを自覚できたのでしょう、それがいききとした表情となって表出して、すばらしかった。観覧席からもたくさんの声援をいただき、パドマらしい気持ちのいい運動会になったと思います。

運動会というと、紅組対白組の「競技」を連想しますが、私は、一人ひとりの子どもたちの体力の充実ぶりに目を奪われました。順位以上に重要なことは、その子どもの体力に応じた運動能力がどこまで最適化されているかであって、スポーツ的にいえばフォーム(動きの型)の洗練度に感心しました。年長児の走るフォームは、言葉で説明してできるものではありません。

たまたま12日のNHKニュースで幼児の体力について報道されていましたが、腑に落ちたことがたくさんありました。その中で東京大学大学院の深代千之教授(スポーツ科学)は、「人間の運動神経の発達のカギは、動きのバリエーションを決める脳の神経パターンにある。だから脳の成長にあわせて運動を行うのがよいのであって、それをいちばんうまく獲得しやすいのは幼児期から小学校低学年の時期」「運動のうまい下手はけっして遺伝ではない。幼少期にどんな過ごし方をしたかが決定要因であり、その時期にいろんな動作をさせること」と指摘していました。幼児期の動きの体験は、その人の一生の運動能力を決めてしまう。

またニュースでは、一流スポーツ選手が幼少期をどのように過ごしていたかアンケート結果を紹介していましたが、必ずしも早くから専門化していたのではなく、いろいろなあそびを複合的に体験していたことがわかったといいます。早期に英才教育を受けたからではなく、いろいろな体を動かして活発に遊んでいた幼児が、将来トップアスリートになっています。

いま子どもの世界もスポーツブームで、体操や水泳、サッカーとお稽古ごとが花盛りです。中にはオリンピックを目指そう、という有能な子どももいるかもしれない。が、肝心なことは、この時期から何かの種目を特定することより、なるべくバリエーションゆたかなあそびを組み合わせながら運動のトータルな能力を高めることでしょう。今回の運動会でも披露された当園の体育ローテーションは、それを時間の流れの中にうまく織り込んだものです。また、スポーツだけではない、散歩したり、掃除をしたり、お手伝いをしたり…そういう生活全般のあそびによって、幼児の運動能力は培われていくと考えるべきだと思います。

おりしも文部科学省の「子どもの体力・運動能力調査」では、日本の小・中学生たちの「走る」「跳ぶ」「投げる」などの諸能力がここ数年に比べ向上傾向にあると発表されました。子どもの体力と気力・集中力は比例します。今が一生モノの適期だからこそ、幼児期の動きの体験についてもっと心を配っていきたいものです

ページトップへ