赤色赤光

荒れる子どもたち。言語コミュニケーションの本当の目的。

2009年12月12日

先般、文科省から全国小中高校「問題行動」調査の結果が報告されました。児童の暴力行為が3年連続で増え、約6万件のうち小学生は6484件と過去最高を記録したといいます。80年代の校内暴力の時代は、番長型リーダーがいて、問題児も組織化されていましたが、現代の特徴はふだんは目立たない普通の子どもが突然感情を爆発させる傾向にあるといいます。「自分の感情を抑制できない」「規範意識やコミュニケーション能力が低下している」などと言われる所以です。

じつは、子どもの荒れと「言語力」には密接な関連があります。自分の考えが言葉にできない、いまの状況を概念化できない、相手の気持ちを思いやれない…つまり、自分自身を客観的に理性的に把握できない故、感情が勝って、「信じられない」事態を招きます。
人間は言葉によってのみ人間であるといいますが、そこが機能劣化すると人間は動物と等しい存在になってしまいます。

 

昨年の新学習指導要領でははじめて全教科で、「言語力」育成が全面に打ち出されました。ここで言う「言語力」とは、文章とか作文といった狭い意味ではなく、相手の考えを理解し、自分の考えをまとめ、思いやり、意見を交わし、判断する「人間の知力」としてのそれです。幼児期でいえば、聴く、話す、読む、書く活動を通して、心の拠り所をつくり、人間としての基礎基本を涵養することが目的です。アニメやゲーム的言語があふれている今、改めて正しい日本語にふれる体験も重要となるでしょう。

パドマ幼稚園の言語教育では、音読・暗唱、フラッシュカード、日記・作文、読み聞かせ等々、「言語日課」の活動を園教育の根幹として取り組んできました。パドマの子どもたちは、話すことが大好きです。幼稚園が目指す本当の言語力とはただ勉強ができるためのものではない。他者を尊重し、全体の協調を重んじ、その上に確固とした主体性を築く、その根っこを育むことなのです。

ページトップへ