赤色赤光

地蔵盆。子どものいのちを愛おしむ。

2014年8月21日

長いお盆の季節。そのフィナーレを飾るのが地蔵盆の祭りです。今年は工事の関係で、盆踊りはお向かいの高津小学校さんの校庭を借りての実施となります。
そもそも地蔵盆とは、子どもの守り神であるお地蔵さまに加護を祈るのが由来であり、子どもが主役の仏教行事です。ひろく知られた伝説によれば、地蔵菩薩が、親より先になくなった子どもが賽の河原で苦しんでいるのを救うという伝承に依っています。昔は子どもはか弱く、しばしば幼いうちに亡くなりました。当然そのいのち長らえることを願う親や地域の切なる気持ちもあったことでしょう。盆踊りも夏の終わりに先祖の御霊を送る、つまり別れの祭りですから、その双方ともにぎわいとは裏腹にどことなく切ない感覚が漂います。
地蔵盆も盆踊りも、最近は地域行事としては、縮小傾向にあり、商店街やスーパーでは集客イベントとして実施しているところも少なくないようです。私の勝手な推測ですが、そういう場ではにぎやかさだけが強調されて、儚いいのちを想うような切なさはかき消されていくような気がします。
お寺の地蔵盆ですから、当夜は大蓮寺の六地蔵の前に大きな祭壇を設け、私ら僧侶も出て、懇ろにお盆の回向を勤めます。いつもながら浴衣着の純真無垢な幼児たちが、父母と一緒に焼香して、手を合わせている姿は、見ているだけで静かに胸に迫ってくるものがあります。医療技術は発達した今、生存がおびやかされることは少なくなりましたが、子どもが生きることのきびしさは今も大きく変わりません。この子たちの未来は本当に明るいのだろうか、あるいは私たち大人は、そのために今何ができるのだろうか。また、これからの将来もできる限りのことを精一杯努めよう。地蔵菩薩の穏やかな笑顔を見つめながら、そんなことを感じていました。おそらくその気持ちはご両親も同じであったことでしょう。
あと10日でいよいよ2学期、元気な子どもたちの笑顔がまた幼稚園に帰ってきます。工事進捗による不便はまだ残りますが、新しい保育室にひびく子どもたちの歓声が楽しみです。
(再掲)

ページトップへ