赤色赤光

父よ、生きた手本となれ

2009年6月15日

6月13日、お父さんを中心に保育参観があり、553名もの保護者の方々にご来園いただきました。当日は1時間ほど、お父さんを対象に講演をさせていただきましたが、その聴講態度のすばらしいこと! 私語も雑音はまったく聞こえてこず、真剣に聴き取っていただいたことに感謝しています。

 

講演の最後に、私は二つのことを幼児を持つお父さん方にお願いしました。
ひとつは、母親の後方支援を担ってほしいということです。
現代の子育ては母と子の密着した関係に陥りやすく、育児ストレスや育児不安といった新たな問題も起きています。育児に束縛されて社会から孤立感を感じる主婦も少なくないといいます。もちろん、父親の育児の直接支援もすばらしいことですが、あえて後方支援と述べたのは、それ以上に、母親(妻)と外部を接続するような関係がたいせつだと思うからです。
難しいことではありません。ふだんの夫婦の何気ない会話にも、母親は外部を感じることができるはずです。家庭の中に社会の風を通すというか、「旅人」としての父親が、夢や希望を母親に語ることは、子育てにとってたいせつな「後方支援」となるはずです。

もうひとつは、父親は子どもの前では社会的規範となってほしいということです。
サルの社会でもいえるそうですが、子どもにとって父親は社会の象徴であり、その日常の言動を模倣しながら、社会観の基礎イメージをつくるといいます。当たり前のことですが、子どもの前で悪口を言わない、嘘をつかない、外に出れば信号は守る、横断歩道を渡る等々、そんなことをきちんと保つお父さんであってほしい。よく父親の威厳を示せとか、「父性の復権を」といいますが、私の申し上げたいのはまた別のもので、人間社会の一員として規律や秩序を尊重できる当たり前の「市民感覚」を育ててほしいのです。 幼児に理屈を語っても、なかなか伝わらない。たいせつなことは、父親が自ら生きた手本を示すしかないのです。

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