赤色赤光

同志と私学

2009年6月29日

 先週24日、パドマ幼稚園の後援会総会で講演をさせていただきました。参加された40人のおおよそはPTAの役職歴任者や職員でしたので、少し幼稚園の内情にもふれながらお話しさせていただきました。


その中で、日本の私立大学の雄・同志社大学と創設者の新島襄の話を紹介しました。詳しい話ははしょりますが、明治8年、米国から帰国した新島は同志社の前身である同志社英学校を建学しますが、その際、彼が掲げた理念が「同志による結社」でした。官立・東京大学に対抗して、私立学校の建学の精神を体し、そこに自発的に集う同志による学校として「同志社」を命名します。

大学でも幼稚園でも、公立学校になくて、私立学校だけにあるものは「建学の精神」です。独自の「建学の精神」が時代を超えて普遍的魅力を放ち、いつの人々の心にも響くところに、私立学校の存在理由はなくてはなりません。
後援会の講演では、「仏教情操の教化」を建学の精神とし、その拠り所を「三宝(仏教の3つの宝物)=仏法僧」とするパドマ幼稚園のお話をしたのですが、私がいちばん強調したかったのは、園児たちはもちろんのこと、わが園を選んでくださった保護者のみなさん一人ひとりもパドマ幼稚園の「同志」であってほしいという点でした。

教育はサービスではありません。時々教師が売り手で、保護者が買い手と例えるような言説を見かけますが、それはいささか愚かではないでしょうか。生徒や保護者のニーズはたいせつなものですが、それだけが絶対優先されると教育も市場主義にさらされてしまい、やがて「建学の精神」も建前だけの宣伝文句に落ちぶれてしまいます。ですから、生徒(園児)も教師も、そして保護者も皆が共感してともに集うことのできる「建学の精神」と、それを時代に呼応しながら語っていく新しい言葉がどうしても必要なのです。

先月のクラス会でも、私は集まった保護者のみなさんに「同じクラスに集った縁を深めていきましょう」と呼びかけました。それには、「私たちは仲間である」という同志一人ひとりの意識と努力が必要です。中心は担任ですから、どうか担任を皆さんで盛り上げてやってほしい、ともお願いしました。
後援会では、とくに力強いお父さんたちのサポートを期待しました。これまで同様の支援に加え、もうひとつ「地域社会への架け橋」としてのご貢献をお願いしました。パドマ幼稚園の魅力を幼稚園の中だけに完結させずに、それをどう社会に対し公共的に語っていくのか(このブログもそのひとつの回路ですが)、一線の社会人であるお父さんにもご助力をお願いしました。

お父さん、お母さんを「同志」と呼ぶにはあまりに僭越かもしれませんが、「同志」という同じ立場に立ってこそ、行方に見えてくるものはたくさんあると思います。

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