赤色赤光

思いを届ける。サマーコンサート

2009年7月13日

7月8日、国際交流センター大ホールで、恒例のサマーコンサートが開催されました。ホール一杯の800名以上のご入場をいただきました。
当園では、音楽発表会は1学期と3学期の2回開催します。通常、どの幼稚園も発表会は3学期と決まっているのは、年度後半になってこそ子どもの成長が著しいから。逆に言うと、いまの時期は何かを発表するに最適期とはいえません。入園・進級3ヶ月、保育日数にすればまだほんの60日足らずを経たに過ぎないのです。

それでも当園がこの時期にサマーコンサートを行うのは、たいせつな訳(わけ)があります。それは舞台発表の経験が、子どもの今の「思いを届ける」にいちばんふさわしいからです。
本格的な舞台は、照明に照らし出された、大人でも緊張するような場所です。緞帳が開くと、無数の視線が一斉に集まり、異様なほどの緊張感が迫ってきます。そんな、ふだんの幼稚園とはまったく違うハレの舞台で、子どもたちは見事に歌や合奏を発表してくれました。大きな舞台をやり遂げた充実感と自信が、子どもたちの2学期への確かなエネルギーとなっていきます。

表現が表現として成り立つには、送り手と受け手が必ず必要でする。送り手は勝手気ままに表現しているのではありません。受け手に向けて、たいせつなものを届けようという思いがあって、それをしっかり受け止めようという人がいて、その両者の一体感が感動を招き、よき表現となります。もちろん歌や合奏の技巧もあるけれど、客席から見つめているものは、それ以上に子どもたちの躍動感、安定感、また集団の規律や協同といった「もうひとつの表現」なのです。生きていることはたのしい、みんなと表現することがうれしい…そんな声があの歌声から聞こえてこなかったでしょうか。言い方を変えれば、3ヶ月間に育まれた子どもたちの意欲ややる気、充実や喜びを見ていただくために、歌や合奏の練習に励んできたのだと思います。

だから、サマーコンサートの表現とは、送り手の子どもたちと受け手のお父さんお母さんの協同作業なのです。子どもたちは鏡に向かって歌っているのではない。観客席のあなたを宛先にして、自身の思いを全身で届けようとしてくださったのでしょう。その思いの表現に上手下手などありません。観客席からいただいた惜しみない拍手は、表現に対する「評価」というより、そういう子どもたちの思いに対する心からの「感謝」なのだと思います。

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