赤色赤光

今日という日を迎えて。ケアと幼児教育。

2020年12月24日

今日は幼稚園の御用納め、全員で大掃除をしました。

その後、全員でこの一年のふりかえりをカードに書き出して、共有することにしました(時々、私はこういったワークを研修や会議に取り入れています)。

「この一年、コロナ禍で大変だったが、人間として生きる限り、それでもうれしかったこと、たのしかったことがあるはず。プライベートでもなんでもいいから、書き出してみてください」

数分の後、四角いポストイットがホワイトボードに貼り出されました。

「日々の生活をていねいにする喜びを知ったこと」

「誰かを思い誰かに思われる機会が増えたこと」

「先生でよかった、とたくさんの方から言っていただいたこと」等々。

多くが日常のありがたさに感謝する言葉でした。人は非日常な世界にあるほど、日常を愛しむものです。普段通りのこと、当たり前のことが、今年ほど尊いと感じたことはなかったのでないしょうか。

園長としては、幼児教育における「ケアの本質」に気づかされることの多い一年でした。そもそも教育は「teaching」「healing」そして「caring」の3つの要素で成り立つといいます。

特に、ケアリングが看護や介護の分野だけでなく、学校教育、なかんずく幼児教育において、かように重要であると痛感しました。保健や養護はもちろん、子どもの心のケア、保護者や先生のケアも含めとても大切であると感じています。

ケアリング教育とは、一方的な教え込む姿ではありません。他者へのよきかかわり、相互的共感的なかかわりであって、そこでは子どもを受け止め、聴き取りながら、健やかな成長を願う態度が必要となります。これは容易なことではありません。

ですが、自分の至らなさも自覚しながら、ただ「祈る」ような生き様が、教員には求められるのかもしれません。

手洗いとか換気といった安全目標も大事ですが、結局、感染防止対策もそうしたケアリングなあり方が肝心なのでしょう。果たして、それが十分であったかどうか、わが身をふりかえりながら、また新年に向けて希望を紡いでいきたいと念じています。

右隅の一枚、「息子に働く姿を見せられたこと」というカード。緊急事態宣言中、小学生の子どもさんを連れて出勤されたお母さん先生の言葉です。わが家で、「ママ、がんばってね!」と尊敬されたとのことです(笑)。

どうぞよいお年を迎えください。

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