赤色赤光

春の入園式。幼稚園の子どもに生まれ変わる。

2012年4月5日

幼稚園の新年度は、入園式で始まります。昨日4月4日、平成24年度の真新しい仲間たち121名を迎えて、盛大に開催されました。昨日は春嵐が吹き荒れる一日でしたが、落ち着いた春の時候と、五分咲きの桜が新入園児を歓迎していました。
「儀式」というものは、昔から人生の節々において「通過儀礼」の機能を持ち合わせました。儀式の前と後では、内面に変化が起きます。結婚式は、一男性が夫に、あるいは妻になり、葬式では、この世と別れ、新たに浄土に生まれ変わることになります。何かが終わって、何かが始まる。その転換点のそれぞれを、人間は「儀式」としてたいせつにしてきたのでした。
 

 当園は仏教の幼稚園ですから、儀式がいっそうたくさんあります。先月行われた卒業式はその最たるもので、園児たちは儀式を節目として園を巣立って、小学生になっていきます。間もなく始まる1学期の始業式も、前年度に別れ、新年度に出会う時。年少さんは年中さんに、年中さんは年少さんに、新たに生まれ変わるのです。進学進級とは、そういうものなのです。
 

では、入園式とは? 小さな園児たちは明日から幼稚園に登園しなくてはなりません。そこは知らない世界で、皆知らない人たちばかり。何でも言うことを聞いてくれたお母さんの姿はありません。子どもにとっては、希望より不安の方が大きいことでしょう。
でも、入園式で誓ったのです。「家庭の子」から「幼稚園の子」に生まれ変わると。それまで、家庭においては小さな王様だった子どもたちも、幼稚園の子、パドマの子、「園児」として新しい生活を始めるのです。

しばらく登園間もない頃は、むずかったり、嫌がる時もあるでしょう。ご両親を手こずらせるかもしれません。でも、それは当然のこと。毎日通園しているうちに、すぐに幼稚園生活の楽しさ、親しみに気づいてくださることでしょう。そして、お家に帰れば、また「家庭の子」に戻って、次第に幼稚園の体験を話して下さることでしょう。それでこそ、社会の子。巣から飛び上がった幼鳥のよろこびなのです。
そう、これは、子どもたちに小さな人生にとって、ささやかではあるが、まことに大きな原体験なのです。
 

 

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