赤色赤光

3学期、新しいいのちを生きよう。

2011年1月12日

 川崎洋さんの詩「いま始まる新しいいま」は、こういうフレーズで始まります。

 

 心臓から送り出された新鮮な血液は

 十数秒で全身をめぐる

 わたしはさっきのわたしではない

 そしてあなたも わたしたちはいつも新しい  

 

 いよいよ新しい年の幕開け、3学期が始まりました。  

 同じ新学期でも、2学期のスタートと印象が異なるのは、すでに学年のゴールが目前にあるからです。 3学期に残された時間は、ほんのわずかであり、そのあと、それぞれ進学や進級という「別れ」が待っています。友だちとの別れ、先生との別れ、幼稚園生活との別れ……3学期はその別れを予感させる、静かな序曲のような季節なのかもしれませんね。 でも、「別れ」のないところに、「出会い」はありません。去年の4月以来、先生や友だちと育んできたこのクラス、この学年---その「出会い」は、誰にとっても生涯たったひとつの宝物ものです。  

 

 けど、誰かに独り占めされる宝物と違って、「出会い」はまたつぎに「出会い」の中でさらにいっそう輝きを増していくものです。次の新しい学年、新しいクラス、そして小学校生活……そこには次のつなぎ手の誰かがいて、また私たちの「別れ」を「出会い」に引き継いでくれます。年長児であれば、その誰かとは、小学校の見知らぬ先生なのかもしれない。教育とは、そんな「出会い」と「別れ」を何度もくりかえし、ずっとリレーを続けていく営みなのだと思います。  

 家庭は、担任の顔のように変わるわけではありません。しかし、3歳は3歳の、5歳には5歳の「生まれ変わり」があるのであって、目には見えないが、やはり「出会い」と「別れ」があるのです。「出会い」しかない子育ては、子どもに対する束縛になる場合があります。子どもと一緒に歩いてきた道をふりかえり、次の「出会い」に向けて、たいせつな時間を過ごしていきたいものです。  

川崎さんの詩は、次のようなフレーズで終わります。

 

きょうも新しいめぐり合いがあり

まっさらの愛が 次々に生まれ

いま初めて歌われる歌がある

いつも いつも 新しいいのちを生きよう

いま始まる新しいいま  

 

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

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